この性格の違いはどこから来たのかと問われれば、お互いが育った環境や経験からと答えるしかないだろう。

 私はどういうわけか不運を引き寄せてしまうらしく、車にひかれたり、建物の2階から落っこちたりして、救急車で3回運ばれている。だから、自分の子どもに対しても「何かあったら大変」という目で見てしまう。

 夫は、大きな事故に遭ったことも大病したこともない。もちろん入院したこともない。「小さいころから慎重派だったから」という本人の弁を信じるか、ただ単に「運がいい人」なのかは分からないが。結果、自分の子どもももちろん「運がいいはず」と思い込んでいる。

八塩家は心配性で、金子家は超前向き思考

 もっとも、そうした経験よりも、やはりお互いの両親の性格や育て方が、色濃く影響しているのかもしれない。両家が集まって食事会などをすると、面白いくらいにカラーが違うのだ。やっぱり八塩家は心配性で、やっぱり金子家は前向き思考なところが、お酒を飲みながら話をしていても如実に感じられる。

 ちなみに、義父の口癖は「大丈夫」。酔うと、それが「ノープロブレム」に変わる。

 そうだったか。ここから私達の性格は育まれたのか。ってことは、今、私達がどう接するかで、虎の性格や考え方が形成されるということか。

 正反対の父と母から、さてどんな性格の人間が育つのか。

 「心配だなぁ」(私)

 「楽しみだ」(夫)

夫のアトコメ

 救急車だったらこっちだって2回ほどお世話になっている。学生時代。飲み過ぎで。サッカーの試合で大怪我をしたこともある。左膝後十字靱帯全断および半月板損傷。こないだはトラを入浴させてる時に風呂場で転倒し(それもヨメが置きっぱなしにした洗剤で足を滑らせて)、ものの見事に右脇腹第7肋骨を折った。

 それでも「大丈夫」を連発しているのは、親の影響というより、「成功するヒトって概ね自分はツイてるって思ってるんだな」という過去の取材から学んだ教訓によるところが大きい。つまり、先天的なものではなく、苦労に苦労を重ねて身に付けたエッセンスなのだが、どうも、ヨメはそのあたりを分かってくれない。

 ただ、目下のところの息子・虎蔵(仮)を見ていると、大人になってから慎重な自分を克服してきた父親とは、何かが根本的に違う。もちろん、母親とも全然違う。

 漢字2文字で表現するならば「無謀」。

 これは、我々には断じてなかった資質なのだが。