子どもたちがケンカをしたり、いざこざを起こしたりすることはありますよね。自分が座っていた椅子にほかの子に座られて泣いてしまうなど、わざとではない子ども同士のトラブルはよく見かけます。そうやって社会性を育んでいる子どもたちの様子を見るたびに、良い経験をしているなあと思うものです。

 これからお話しするのは、私が「一生子どもと関わる仕事をしていきたい」と思ったきっかけの出来事です。

もし、あなたが後ろからどん!と押されたら?

 ある日、登園してきた女の子が、朝の支度を一生懸命していました。そして、タオルを掛けようとしたそのとき、ほかの女の子も同時にタオルを掛けようとしていたので押されてしまいました。押された子は一瞬ひるんで泣いてしまったのですが、私は声を掛けずに黙って見ていました。

 すると、その泣いていた女の子はすくっと立ち上がり、黙って再び自分でタオルを掛けました。「泣き止んでえらかったね。押した〇〇ちゃんのことをよく怒らなかったねー」と近寄ると、その子は「だって、いつも手伝ってくれるんだもん」と言ったのです。