「『サービスが充実している保育園に預けて、母親はいったい何してるんだ』と言われたお母さんもいたそうです。でも、提供しているサービスは、母親が楽をするためではなく、保育園に預けることで増える負担を減らしているだけなのです。仕事をしながら子育てをするだけでも大変なのに、保育園の準備や洗濯、送り迎えでさらにやることが増え、子どもとの時間も取られる。都心では、頼れる親や親戚は近くにいない人も多い。だったら、その部分を保育園が代わりにやって、お母さんのストレスを減らし、少しでも笑顔で子どもと過ごす時間にあてて欲しいんです。忙しいご両親に、笑顔のまほうをかけたいという『まほうの保育園』なんです」

楽をするためではなく負担を減らすためのサービス

外遊び用には専用スモックと帽子を着用して出かける。子どもたちは外遊びが大好き
外遊び用には専用スモックと帽子を着用して出かける。子どもたちは外遊びが大好き

 買い物代行サービスも、実際に使われる内容は各家庭の食事の買い物などではなく、保育園に置いている洋服やオムツ、粉ミルクの追加など、保育に関係するものが多い。急な延長保育の連絡も、抜けられない会議が延びて慌てて電車に乗った母親から送られてくることも多く、必死で迎えに向かっている様子が伝わって来るという。山崎さんの言うように、「楽をするため」ではなく、少しでも負担とストレスを減らす役割をしてくれているのが分かる。

 登園後は、置いてある園の服に着替え、帰宅前にはまた着てきた服に着替えてその日にきた園服は置いて洗濯しておいてもらえる。

入園時に購入する食器セット。普段は園内で使用しているが、退園時にもらえる。保育園生活の記念に、と親からも好評だという
入園時に購入する食器セット。普段は園内で使用しているが、退園時にもらえる。保育園生活の記念に、と親からも好評だという

 「医師や会社経営など多忙な職業の方や、シングルマザー/ファーザーの方もいて、みなさん自分の子どもを安心して預けたい、そして早く迎えに行ってあげたい気持ちは同じなんです。でも、なかなか頼める人がいないから、この保育園を頼りにしてくださっている。預けていらっしゃるお母さんから『帰ってからイライラしたり、子どもをせかすことが減って、一緒に時間が過ごせるようになりました』と聞いてうれしくなりました」(山崎さん)

 このような多忙な環境の家庭の中には、朝食も頼めるため、中にはパジャマのまま登園し、保育園で着替えて朝食を食べ、昼食、夕食まで食べてお風呂に入れてもらい、またパジャマに着替えて帰っていく子もいる。園で夕食、入浴を終えて帰ってくる分、帰宅後に親が絵本を読んであげる時間が生まれるそうだ。

ウェブカメラによる映像をリアルタイムで配信

 保育中は、ウェブカメラによる映像がリアルタイムで配信され、保護者はいつでも様子を見ることができる。