住民たちに住み心地を聞いてみよう。和田優さん(40)は自宅で翻訳の仕事をする女性。同い年のドイツ人の夫と長女(2)、次女(0)の4人世帯。3年前、長女を妊娠していたときに転居する必要が生じたのだが、東京には頼れる人がおらず、子育てに不安を感じていた。そんなとき「住民同士がつながるかんかん森に引かれ」て入居した。

 「子どもが生まれてから部屋に子どもと2人きりだと煮詰まってしまう感じがあった。かんかん森では自分の部屋を出て共用スペースに行くと誰かしらに会って立ち話ができる。それが精神衛生上とてもよかった」という。

 さらに「どうしても子どもの面倒が見られないとき、誰かにちょっと子守を頼めるというのもすごく心強い。子どもの成長にとっても日ごろ接する大人が親だけでないという点は大きいのではないか」と話している。

1時間400モリ(円)でベビーシッターを頼める

 かんかん森では小さな子どもを持つ親同士のつながりはとても強い。そればかりでなく、中高齢世代の住民5人ほどがベビーシッターをしてくれ、1時間400モリ(円)で頼めるという。仕事の都合で保育園の送り迎えができない。そんなとき他の住民が代わりに行くということは日常茶飯のようだ。

かんかん森のキッズコーナー。約50人の住人のうち子どもは12人もいる
かんかん森のキッズコーナー。約50人の住人のうち子どもは12人もいる