スウェーデンで生まれた働く女性のための住まいが日本にもあるという。そこは様々な世代の個人や家族がちょっとずつ助け合いながら暮らす「コレクティブハウス」という賃貸の集合住宅。血縁や地縁、社縁が薄れる日本社会の中で、新たな縁を築いて良好なコミュニティー作りに成果をあげている。どんなところなのだろうか。

 その住まい、「コレクティブハウスかんかん森」は東京都荒川区にある。有料老人ホームや保育園、診療所が入る12階建てビル「日暮里コミュニティ」の2~3階。一見、普通のマンション風。11月最後の土曜日夕方、中をのぞいてみた。

かんかん森は12階建てビル「日暮里コミュニティ」の2~3階にある
かんかん森は12階建てビル「日暮里コミュニティ」の2~3階にある

 かんかん森には100平方メートル以上もある共用の大きなリビングダイニングキッチンがある。業務用の厨房機器も備える広いキッチンでは中高年の男女4人が20人分の夕飯を作っていた。献立はシューマイ、ちらしずし、レンコンのタラコいためなどデザートまで含め全6品。リビングでは子育て世代の女性3人が翌日のブランチのために天然酵母のパンを焼いてハンバーガーをつくる相談をしている。その横では子どもたちが遊んでいる。

0歳から88歳まで。28戸に約50名が暮らす

 これは「コモンミール」と呼ぶ、住民たちが共同で食卓を囲む食事の準備。入居者は原則月1回調理当番が回ってきて、3人ほどでみんなの食事を作る。開催は週2~3回。強制参加ではなく、希望者だけが予約を入れておき、当番はその人数分を作る。住民が友達などを呼ぶこともOKだ。仕事などで帰宅が遅れる人の分は取り置きもしておいてくれる。食事代は1回400~500円(住人間のお金のやり取りは地域通貨とも呼ぶべき「モリ券」を使う。1モリ=1円)。この日も午後6時ごろから三々五々、住民がダイニングに現れ始め、子どもから高齢者までが集ってにぎやかな食事が1~2時間続いた。