前回の「ハッピーなはずの共働き子育て世代が怒るべき理由」にたくさんのご感想をお寄せいただき、ありがとうございました。仕事と育児を両立するためには、様々なノウハウが役に立つこと。子育てをめぐる課題を根本的に解決するためには、怒って声を上げる必要もあること。多くの方に正面から受け止めていただき心強く思いました。

 ところで、あなたは今、どこでこの記事を読んでいますか。通勤電車に乗りながら、スマートフォンで読んでいるでしょうか。それとも、お昼休みに机でランチを取りながら、パソコンで見ているでしょうか。恐らく多くの方が、仕事の合間や行き帰りに、読んでいらっしゃることと思います。

 そして今現在、あなたのお子さんは、どこで何をしているでしょうか。働く親の多くが保育園を利用しています。晴れた日だったら先生とお散歩に行っているかもしれませんし、園庭で遊んでいるかもしれません。お母さん、お父さんと同じ時間帯にお昼ごはんを食べているかもしれませんし、おやつを食べ終えて、部屋の中で遊んでいるころかもしれません。

 いずれにしても、多くの保育園で、私達の子どもは元気に過ごしているはずです。私達の多くは、自分が働いている間、子どもが安全に過ごしていると信じています。そう信じられなかったら、落ち着いて仕事ができないでしょう。働く親にとって「保育園の安全」は何より大事ですが、当たり前過ぎて、普段はあまり意識しないものです。

 少なくとも私はそうでした。

事故の際に寛也君が保育園から提供されたおやつと同じもの。栗並さん夫婦が再現して撮影した
事故の際に寛也君が保育園から提供されたおやつと同じもの。栗並さん夫婦が再現して撮影した

 ですから、初めて栗並えみさん(34歳)・秀行さん(35歳)のお話を聞いたときは、驚愕しました。栗並さんご夫婦は、2010年12月7日に、当時1歳だった息子さんの寛也君を亡くしました。寛也君はおやつを食べている最中に窒息状態に陥り、意識不明のまま救急搬送されて40日後に亡くなったのです。

 保育園のおやつ中に事故が起こって子どもが死ぬなんて、信じられない方も多いでしょう。今日、皆さんのお子さんは、保育園でどんなおやつを食べていますか。ちなみにこの原稿を書いた日、私の2人の子ども達の保育園のおやつは「ぶどうパンとみかん」でした。こういったおやつで、子どもが死ぬというのは、一体どういうことなのでしょうか。

原因はカステラが喉に詰まったこと

 寛也君が食べていたのは「おもちゃカステラ」という名称の、人形焼のような形をした水分の少ないカステラでした。お昼寝から目覚めたばかりで喉が渇いた状態だったのに、大きなラムネ菓子を2つ、カステラを2つと水分の少ないお菓子を連続して与えられ、その間に水分補給をしてもらうことはありませんでした。そのため、寛也君はうまく飲み込むことができず、誤嚥(飲食物が食道ではなく気道のほうに入ってしまうこと)してしまった、と考えられています。

次ページから読める内容

  • 父母は冷静に調査を始めた。まずは保育園へ
  • 国基準の倍の数、詰め込まれていた
  • 夫婦2人で行政を動かし、事態の改善に貢献した努力
  • 被害者を泣き寝入りさせない環境づくりが大事
  • 警察は調査結果を教えてくれない
  • 同情を求めるのではなく、問題点を共有することが大切

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