子ども乗せ自転車について詳しい「おやこじてんしゃプロジェクト」の代表・北方真起さんはこう話します。

 「ヘルメットも試着が重要。大き過ぎず、小さ過ぎず、子どもの頭にフィットするよう調整できるものを選びましょう。ネットで購入する場合はサイズ調整可能なものを選ぶのが必須です。一般財団法人製品安全協会の基準に合格したものを示す『SGマーク』付きが基本です」

 ヘルメットを嫌がる子どもには、キャラクターものなど子どもが好みそうな柄を選んでみましょう。重いヘルメットを嫌がる子どもも少なくありません。先輩ママに聞くと、「子どもが好きな柄のヘルメットで乗り切った」「ヘルメットをかぶった子どもに『かっこいい!』『(子どもの好きなキャラクターの名前で)○○みたい!』などと褒めちぎり、一瞬の隙を突いてヘルメットをかぶせていました」という人もいます。その子の性格に合った方法が見つかるまで、色々と試してみてください。

 ヘルメットを子どもに着けるうえで大切なのは、「自転車に乗るときは、頭を守るためにヘルメットを必ずかぶる」と、幼いころから繰り返し教えること。子どもが自分でヘルメットの役割や必要性を理解し、「ヘルメットはかぶるのが当たり前」と考えられるように導きましょう。

路面店での買い物中、子どもを乗せた自転車が一瞬で倒れた

 子どもと一緒に早くラクに移動できる自転車を導入することで、生活の快適度は向上するはずです。しかし同時に、自転車による事故と背中合わせであることも、保護者側は認識しておくべきです。そのために、自転車の危険性についても十分に把握して注意しましょう。

 一般財団法人全日本交通安全協会の全国調査によると、子どもの同乗時にけがをさせた経験のある人(母親)のうち、その事故(ケガ)が起きた状況について、最も多いのが、「駐輪中、または駐輪しようとしたとき」で35.8%、次に「発進しようとしたとき」14%が続きます(「自転車に同乗する幼児の安全対策及び乗車定員に関する調査研究報告書」平成17年9月、p.10)。

 共働き家庭の場合は、特に時間的、精神的に余裕がなくなりがちな朝と夜は要注意。保育園から自宅までの帰り道でも、ふと起きやすい気の緩みによって、事故の原因として多いふらつき運転にもつながりやすいようです。

 実を言うと北方さんも、親子自転車の転倒によって危ない目に遭った経験者。

「長男が3歳のとき、路面店で買い物中に財布からお金を出そうとハンドルから手を離した瞬間、数秒で自転車が倒れました。息子はヘルメットをしていたこともあって、ほとんどケガはありませんでしたが、あのときの恐怖は今でも忘れることができません」

 それをきっかけに「親子の自転車事故を一つでも減らしたい」という思いが膨らみ、今の活動につながったそうです。