というわけで、はなひめの場合は、4年生4月から近所の塾に通いました。塾準備で塾!? と思われるでしょうが、「あの塾」と「この塾」は別世界です。4年生のときのはなひめは、ひとりで電車に乗ることにかなり強い不安を持っていましたので、そもそも日能研まで行くことが難しかったのです。徒歩で往復できる塾なら自分で行けます。弁当も不要で、夜ごはんは家族と一緒に食べられます。また、その近所の塾は受験というより補習目的で来ている子も多く、のんびりした雰囲気で、宿題もほとんどありませんでした。

 そういう塾で週1回、算数(+理科)を習い始めました。放課後生活のメインは、地域のバレーボールサークルでしたが、無理がない組み合わせだったと思います。バレーボールの練習は平日が週2回、そして土日に試合がときどき入ります。日曜日には塾のテストが入ることもあるので(月1回くらい)、たまにバッティングして、そのときだけ「どうしようか?」と思いましたが、その時点ではどっちも「ちょぼちょぼ」なので、テストを休んでも、試合を休んでも、大勢に影響なかったんです。

 おそらく、大手塾に通っている子とは比べ物にならないのんびりペースの学習でしたが、それでも、中学受験につながる、いろいろなことを学ぶことができました。

・中学受験算数の特殊算などにつながる、概念や操作に慣れること。
・毎日、計算と漢字をやること。
・時間を見計らい、必要なものを持って、塾に向かうこと。
・テストを受けて、点数で一喜一憂すること。

受験では「点数に一喜一憂」する感覚も必要

 普通、「点数で一喜一憂する」というのは悪い意味で使いますが、でも、点数で一喜一憂できないというのも困りものです。中学受験の大目標は志望校に合格することですが、その目標は遠すぎて、それに向かって「がんばる」ということはしにくいですよね。特に子どもの場合は。

 だから、とりあえずは目先のテストで点を取れるとうれしい、点を取るためには何をしていけばよいか、というふうにつながることは、単純ですけど勉強を進めるモチベーションの「第一歩」なのです。

 こじろうは、3人きょうだいの真ん中だからか、とても競争心が強い子で、そんなことはあらためて説明されるまでもなく、点数や順位を気にすることができていましたが、はなひめはぼんやりまったりしていて人と比べる気持ちが希薄で、最初のうちは点数が出たからといってどう…というのもあまりつながっていませんでした。こんなことにも「予習」が必要だったりします。いや、必要な子「も」います。