私は小学4年生と4歳の保育園児、男の子2人の母親です。職場で数多くの部下を育ててきた経験もあり、人材教育には一家言あります。それは、「子育てと企業の人材教育には共通点がある」ということ。内容は次の3つです。

 最も大事なのは本人に自尊心を持たせること。そのためには“ヒーローになる”経験が何より効果的です。

 例えば、大勢の前で思い切った行動を取って目に見える成果を出す経験。その成果を観客やチームメンバーとともに分かち合う経験。これらを通して「やればできる」という実感を持たせることができれば、子どもは“成長の糸”をつかむことができる。ここまで来ると、子どもの中で「自分で自分を育てていく」という意識が芽生えます。そこから先は成長が加速します。

 2つ目は任せること
 最初は手取り足取り教えることが必要ですが、ある程度、基本を教えたら、あとは本人の可能性を信じて好きなようにやらせます。多少のアドバイスはしても、一定の距離をキープする。失敗やスランプを自力で乗り越えさせることで、子どもは親が想像しなかったほどの強さを発揮し始めます。

 3つ目は観察すること
 「与えられた課題を本人が心から楽しめているか」「自分の成長に気づき、進歩しようとしているか」と。何らかの原因によって、その課題が子どもに合っていない時は、その課題を取りやめて代わりに別の課題を与えることが必要です。

 この3つを満たす手段として、私が重視しているのが習い事なのです。

 習い事にはたくさんの機能がありますが、私は次の2つの機能を重視しています。

 まず、新しい技術や考え方を身に付けること。そして、親以外の大人と深く付き合う経験をすること。もしかすると、生涯にわたる趣味・生きがいを見つけたり、恩師に出会えるかもしれない。私は経済的な面で可能な限り、子どもにはできるだけ多くの習い事をさせてあげたいと思っています。

 これから先、子どもがどんな人生を送るかは分かりません。その間、きっと子どもは何らかの課題にぶつかるでしょう。子どもは自力でその課題を乗り越えていかなくてはなりません。そんなとき、習い事を通して身に付けた何かが、暗闇を照らしてくれるかもしれない。そういう意味で、「習い事は親が子どもに与えるサーチライト」だと私は思っています。

冷や汗をかいた“小一の夏”

 実は私が習い事に注目するに至ったきっかけがありました。長男が小学校に入学して初めての夏。体育で水泳の授業が始まった時、クラスで泳げない子は自分の息子を含む2人だけだという事実を知りました。