認可外保育所の入園はほとんど申し込み順で決まるらしい。中には応募を受け付けないところもあり、「今から申し込んでもリストはいっぱいだから、ちょっと厳しいですよ」などと言われる度、一人でリサーチと問い合わせを行っている妻の不安は募っていく。

 最初は最寄り駅付近で探していたが、どこも良い感触は得られず、隣の駅、さらに二駅先へと範囲を広げていった。妻は、臨月間近の身重な体であちこち見学にも出かけていたが、だんだん歩くのが辛そうになる。

 会社から帰ると、星野さんは妻の話を聞くようにしていた。

 「何でこんなに苦労しなきゃいけないのかな」「どこにも入れなかったらどうしよう」。日に日に妻の焦りが増していく様子が気がかりでならない。心配になり、仕事の都合がつけば、自分一人でも保育所へ見学に行ってみた。

 「保育園についてほとんど知らないので、最初はどこを見ていいかわかりませんでした。『0歳児はこの部屋で、みんなで寝てるんですよ』と説明されても、『ああ、そうなんですか』と言うくらいで、環境が良いか悪いかもわからない。保育士さんが何人くらいいるか、という質問すらできず、“ただ見てきた”だけでした。実際、直感的にここは良いなと判断しても、見学後に『とりあえずリストの最後には入れますが‥‥』などと聞けば、途端に虚しい気持ちになるんですよね」

まだ見ぬ赤ちゃんを思うと、やはり認可の方が安心な気がした

 認可外保育所には自治体の助成を受けて運営される施設から、民間の保育ルームやベビーホテルまでさまざまだ。そのうち「認証保育所」は東京都が独自に設けた基準をクリアした施設で、利用者と施設との直接契約になる。駅前立地や延長保育などのサービスを打ち出し、設備も新しいところが多かった。

 「部屋もきれいで良さそうに見えると、認可にこだわらなくてもいいかなと思ったりする。ただ、その後、夫婦二人で近所の認可保育園へ見学に行ったら、“認可と認可外は全然違うんだな”と驚きました」