テレビ番組で時事問題に関してコメントをする際、自分の意見を展開しつつも、一般的な感覚から離れないように務めている。一応、アナウンサー出身で大学で教えたりしている立場として、求められる立ち位置を外さないためだ。

 2013年4月に安倍首相が打ち出した「育休3年化」について聞かれた時も、もちろん立ち位置を意識したつもりだったのだが…。実は、ちょっとだけ、外してしまった。

「3年、抱っこし放題」は良いことだと思ったのだけど…

 「育休を3年取得できるという選択肢があることはとても良いこと。でも、企業の中で運用上取得できなければ意味がない」

 これが私のコメントだった。実際、育休を3年まで取得できる企業に務めている知人をうらやましいなと思っていた。社員という立場を保障してくれるなら、そして、職場が取らせてくれる雰囲気ならば、安倍首相の言う「3年、抱っこし放題」、いいではないか、と。

 ところが、このコメント、全て赤子優先で思考が巡っていて、抱っこしまくりの日々を送っている今の私だからこそ、出た意見だったらしい。と後ほど、気付くことになる。

 「一般的な感覚」で見た「育休3年」は、「現実的でない」「女性の気持ちを理解していない」「女性にばかり育児を押し付ける」制度という評価だったのである。実際にはこれらの意見が一般的かどうか調査をしたわけではないので分からないのだが、少なくとも、マスコミやソーシャルメディアから発信された中では、このような見方が多かった。

 「待機児童を5年でゼロにする」という提案も安倍首相は同時に打ち出したのだが、育休3年にするよりも、待機児童を5年と言わず、今すぐに減らすべきという意見も方々で聞いた。