勤務は平日の午前中と土曜日。自宅から歩いて通える範囲で職場の人間環境も良かったが、再就職してしばらくして「このままずっとこの仕事を続けるのか?」と不安になった。

 「商社に残った同期入社の女友達は子どもを育てながらもバリバリと働いている。私も彼女たちと同じように、やりがいを持って働ける仕事をしたい」

 そう考えて、もう一度自分も磨き直すためにリカレント教育課程への入校を決めた。

 マサミさん(39歳)は1997年に大手建設会社に入社。長女の出産をきっかけに2005年に退職した。以降、いくつかの会社でパートとして働きながら、子育てと仕事の両立を図ってきた。

 だが2013年1月に勤務先が倒産し、失業。このときに受講を決心した。実はその前にパートとして働いていた勤務先でも、リーマンショックによる経営不振を理由にリストラを経験していた。「パートの働き口は見つけやすいが、安定的に勤め続けるのは難しい」と、さらなるキャリアアップを目指した。

 リカレント教育課程に入学後、マイクソフト社認定の「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」や「ウェブ解析士」の資格を取得。11月には日商簿記3級の試験も受験し、自己採点によれば無事合格の見通しだ。来春修了のめども立ち、現在再就職活動中。「資格を取ってセールスポイントも増えた。週5日安定して働ける正社員の仕事に就きたい」と意気込む。

応募書類も添削、面接の練習も実施

 日本女子大学リカレント教育課程は2007年開校。春と秋の年2回、入学生を受け入れている。2013年秋までに計11期148人の修了生が巣立った。このうち約8割が再就職を希望し、そのほとんどは修了後3カ月以内に再就職を果たしているという。

 再就職率が高い秘訣は教職員らによる手厚い支援にもある。入校から半年後に個別のキャリア面談を実施し、本人の家庭状況や希望に即して専門カウンセラーが戦略を練る。履歴書や職務経歴書など応募書類を添削し、面接の練習も実施する。修了を控えた2月と8月にはリカレント教育課程修了生を採用したい企業を集めて、合同会社説明会も開く。毎回10社弱が参加し、ここで採用が決まる受講生も少なくない。

 関西学院大学も再就職講座「ハッピーキャリアプログラム」を2008年から開いている。

 受講資格を原則として大卒以上に限定し、財務や貿易、英語などビジネスに役立つ専門教育を施すなどは日本女子大学リカレント教育課程とほぼ同様。違いは年1度、秋入校しかなく、講座が半年間の短期集中型であることくらいだ。2013年秋まで89人が修了しており、就職を希望した修了生の再就職率は9割を超えている。

働いていた頃の感覚がよみがえってきた

 電機機器の輸入代理店に勤めるフミエさん(41歳)は2012年修了生。社員十数人の小さな会社だが、現在営業統括部長を務めている。

 大学卒業後に病院に就職し、医療事務をしていた。その後、イギリスに2年間留学。帰国後に結婚・出産。一時は子育てをしながら働いていたが、33歳のときに子育てに専念するために専業主婦になった。40歳を前にもう1度働きたいと思い立ち、再就職活動をしてみたが、結果は連戦連敗。

 「やってみたい仕事を見つけても、企業は専業主婦をブランクだと思うのか、評価してくれず採用してくれない」