結婚や出産などをきっかけに一度仕事を辞めてしまうと、再就職のハードルはとたんに高くなる。子どもも成長し、そろそろ働いてみようかと求職活動を始めても、目立つのは定型的な業務やパートなど、比較的責任の軽い求人が中心だ。

 以前の勤務経験や専門知識を生かして、もう一度仕事で輝きたい――そんな意欲を持つ女性の再チャレンジを手助けする実践講座を、日本女子大学と関西学院大学は開いている。

OGは3人に1人。様々な大学出身者が集まる

 「簡単な会計処理や簿記はエクセルで可能です。データ処理の手法をしっかり身に付けてください」

 講師の説明を聞きながら、十数人の受講生が目の前のパソコンを凝視する。これは日本女子大学リカレント教育課程「ITリテラシー」の授業の一幕。受講生の多くは子育てが一段落した主婦らだ。

 主婦を対象にした再就職講座はあちこちで開かれている。ただ日本女子大学リカレント教育課程の特徴は、受講資格を原則大卒以上に限定し、大学院レベルのビジネスに特化した専門教育を施すことだ(リカレントは「再教育」という意味)。日本女子大OGは受講生の3人に1人程度にとどまり、東京大学や東京外国語大、早稲田、慶応、神戸大など出身校は様々。今は主婦やパートであっても、企業社会で再びバリバリと働けるレベルまで育てる。

 企業会計や貿易実務、金融リテラシー、ビジネス英会話など24科目を開講。各科目は週1回90分授業で半年(合計14回)続く。期末試験をパスし、1年間で14科目を修得すると無事修了。在籍中は平日のおよそ半分以上授業に通うこととなり、1年間みっちり絞られる。ただ修了すれば、ハローワークなどで就職支援に使っている「ジョブ・カード」に記載可能な履修証明書を交付。再就職活動の武器となる。

「同期入社の友達のようにバリバリ働きたい」

 エミコさん(43歳)は日本女子大学の講座に今春から通っている。

 1993年、就職氷河期の真っただ中に大手商社に就職した。入社5年目に職場結婚し、仕事を辞めた。夫が海外赴任を控えており、働き続けられなかったからだ。米国やフィリピンで暮らし、赴任先で子どもを2人産んだ。2011年春に帰国。子育てが一段落したこともあり、もう一度働こうとハローワークに通い、小さな事業所の受付業務をようやく見つけた。