手短にまとめると…

・子どもにスマホを使わせる場合、フィルタリング設定を工夫すると実態に即した利用ができる

・個室では使わせず「リビングだけで利用する」など家庭内ルールを決めるのが有効

・家族同士でLINEで連絡を取り合うと、子どもの使い方を「見守れる」

 小学生のスマホ利用、その問題点を記した前編記事に引き続き、子どものスマホ利用に詳しい千葉大学教育学部教授の藤川大祐氏が「親の対処方法」について解説する。

学校の先生はスマホ利用が苦手?

――ズバリ、小学生の間はスマホを買い与えないほうがいいのでしょうか。

藤川大祐氏(以下、藤川) 私は、小学生の間は持たなくてもいいと思います。連絡手段として持たせるなら子ども用ケータイで十分ですから。

 ただ、親が頭ごなしに、「スマホはだめ」「LINEはだめ」と禁止するのでは、今どきの子どもは納得しません。

――というと?

藤川 例えば、スポーツなど子どもが好きなことをやらせてあげた上で、「この活動をするならば、スマホに時間を使う必要は今はないよ」と子どもに言って聞かせるようにするのです。

 親は、物事を禁止するより先に「子どもが何をしたいのか」「何をすると輝くのか」をポジティブに考えることのほうが重要だと思います。

千葉大学教育学部教授の藤川大祐氏
千葉大学教育学部教授の藤川大祐氏

――しかし、やがてはスマホを使う時がきますよね。

藤川 もちろんそうです。私は、ある時期がきたら使わせて、利用方法をきちんと指導することが必要だと考えています。

 今や、高校生の98%は携帯電話を持っており(編集部注:内閣府「平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果」)、従来型の携帯電話もほとんどなくなっています。スマホへの移行は、もはや避けようがありません。

 子どもにスマホをずっと使わせないことよりも、どこかで覚悟をきめてスマホを持たせて、適切に使えるように家で指導していくほうが大切です。

――学校では、スマホの安全な利用方法を教えないのでしょうか。

藤川 今の学習指導要領では「情報モラル教育」が柱になっており、教育現場でも、ネットや携帯電話の安全な使い方を指導することが義務化されています。

 ただ、学校の先生はスマホを使うのが苦手な人が多いのです。

――「苦手」というと?

 教育現場の仕事は、一般のビジネスパーソンのように、職場から外に出る機会が少ないものです。先生にスマホを利用する必要性が薄く、所持していない人が多い傾向があります。

 そうなると、生徒にスマホのことを聞かれても説明するのが難しい。学校現場に指導を頼ると、スマホに関する知識も限られてしまいます。

 そのため、親が率先してスマホ対策を行うことが重要です。

歌舞伎町の入口に子どもを1人で置いてくるようなもの

――親が子どもにスマホを使わせる場合、どんな対策が必要でしょうか。

藤川 基本となるのは、各携帯電話会社が提供するフィルタリングサービスの利用です。携帯回線を利用するときに、子どもには不適切だと思われるサイトの閲覧を制限します。Androidスマートフォンでは、アプリの起動を制限できるものもあります。(編集部注:NTTドコモは「アクセス制限サービス」、auは「安心アクセスサービス」、ソフトバンクは「ウェブ安心サービス」など)

NTTドコモの「アクセス制限サービス」
NTTドコモの「アクセス制限サービス」

 ただしフィルタリングを実際に設定しようとすると、問題が出てきます。

――というと?