安い学費、好調な進学実績、塾にそれほど依存することなく対応できる入試…。私立と公立の「いいとこ取り」と、共働きファミリーの人気が急上昇している公立中高一貫校。5倍、6倍は当たり前。なかには10倍前後の入試倍率となるところも少なくありません。しかし、一言で公立中高一貫校と言っても、学校によって校風や入試の出題傾向もさまざまです。公立中高一貫校(東京地区)の最新事情を全4回でレポートします。

家庭学習のみで合格したケースも

 中学受験といえば小学校4年から塾に通い、送り迎えや夕食のお弁当作り、宿題のチェック、スケジュール管理などなど・・・。ワーキングマザーは「受験なんてとても無理!」と、尻込みしそうです。でも公立中高一貫校なら、一般的に塾は5~6年生からで通塾頻度もそれほど高くありません。塾に通わず、家庭学習だけで合格した例もあります。共働き世帯に「やさしい」入試ともいえるのです。

 2013年11月9日、東京都立小石川中等教育学校(東京都・文京区)で学校説明会が開催されました。午前・午後合わせて約1200人が参加し、600人分用意した椅子はほとんど埋まりました。先生の他に、海外語学研修や学校での1日、行事などは生徒が説明しました。

 参加した保護者は、
「特徴ある教育に興味があります。公立中高一貫が第一志望。私立よりも、人間教育に力を入れているように思う」(4年生女子母親)、
「理科と算数が好きなので、本人が志望している。家が近いとのと学費が安いのは大きな魅力。今日の説明会を聞いて、ますます入りたくなったようです」(6年生男子父親)
などと感想を述べています。

 小石川中等教育学校は、東京都が設立した公立中等教育学校です。学校の詳細は改めてリポートしますが、まずは公立中高一貫校とはどんな学校か、勉強してみましょう。

大盛況だった小石川中等教育学校の説明会
大盛況だった小石川中等教育学校の説明会

中高公立一貫校には3つのタイプがある

 中学と高校が一緒になった「中高一貫」というシステムは、かつては私立(国立)の独擅場でした。それが文部科学省の「中等教育の多様化をはかる」目的で制度化され、公立に導入されたのが1999年。初年度には宮崎県、岡山県、三重県で誕生し、以来全国各地で続々と設置されています。

 一口に公立中高一貫校といっても、1.中等教育学校、2.併設型、3.連携型の3つのタイプに分けられます。