お稽古事をさせるとき、何を基準に選べばいいか、環境をどう整えたらいいのか。基本の考え方を押さえておけば、失敗はなくなるはずだ。

大切なのは子どもの何を育てたいと思い、やらせているのか

 どんなお稽古事をさせるといいのか、どんなお稽古事が子どもに向いているのだろうかと、親はいろいろ頭を悩ますものだ。

 お稽古事をさせるときのポイントは、向き、不向きよりも、興味を持って続けられるかどうかにある。

 「お稽古事選びのときに、向き、不向きを考える必要はありません。長く続けられて何かを身に付けることができたものが、向いているもの。結果としてわかるものだと思ってください」と白百合女子大学教授の田島信元さんはきっぱり言う。

 幼児期から始めるお稽古事は、親がさせたいと思ってやらせていることがほとんどだろう。それに関しては全く気にする必要はない。 「子育てとは、多かれ少なかれ親の価値観を押し付けることです。お稽古事にもそういう面があります。大切なのは『何を育てたいと思って、やらせているのか』です。ピアノが弾けるようになってほしいといった技なのか、サッカーを通じてみんなで頑張る力を体験させたいといったことなのかを少し絞って考えてみると、親はさほど揺れずにすむでしょう。でも、あれもこれもと、たくさんのことをお稽古事に期待しすぎるのはよくありません」と神戸常盤大学短期大学部准教授の小﨑恭弘さんはアドバイスする。

任せきりにせず、親が適度な関心を持つ

 お稽古事に、親が適度な関心を持つことも大切だ。「教室に任せているからと、子どものお稽古事に親が関心を示さないようでは、子どもは『ただ通っているだけ』になってしまいます。一人で通うようになっても、ときどきは見にいって励ましたり、上達したら『うまくなったね』と褒めたりすることは、とても大事。体操教室などで、プロ養成コースと一般コースを分けるときの基準は、子どものやる気と親の熱意だそうです。たとえ突出した素質があっても、やる気がなければ伸びないで終わってしまうのです」と教育ジャーナリストの杉山由美子さんは話す。

 お稽古事の数について、最初から1つに絞って続けさせるのか、いろいろ体験させるのかも悩みどころだ。小さいうちはいくつか体験させてみて、ある段階で子どもと相談しながら「これを続けていこうか」と絞っていくのがよさそうだ。