手短にまとめると…

・親が小学生にスマホを持たせる理由は「ゲーム」と「メッセージアプリ」

・ネットでのいじめは、学校裏サイトからLINE上へ移った

・LINEやネット動画に長時間はまる「スマホ依存」が、子どもにとっての大きな問題

 スマートフォン(スマホ)の普及に伴い、小学生がスマホに触る機会が急増している。ではスマホの利用は、小学生にどんな影響を与えるのだろうか? 悪い影響、それとも……。

 子どものケータイ利用に詳しい千葉大学教育学部教授の藤川大祐氏が、「小学生とスマホ利用」をテーマに、最新状況と問題点、親の対処方法を解説する。(2回掲載)

普及率は10%以下。だが「隠れスマホ」が増えている

千葉大学教育学部教授(教育方法学・授業実践開発)。メディアリテラシー、ディベート、環境、数学、アーティストとの連携授業、企業との連携授業など、さまざまな分野の新しい授業づくりにも取り組む。著書は『ケータイ世界の子どもたち』(講談社現代新書)、『本当に怖い「ケータイ依存」から我が子を救う「親と子のルール」』(主婦の友社)など
千葉大学教育学部教授(教育方法学・授業実践開発)。メディアリテラシー、ディベート、環境、数学、アーティストとの連携授業、企業との連携授業など、さまざまな分野の新しい授業づくりにも取り組む。著書は『ケータイ世界の子どもたち』(講談社現代新書)、『本当に怖い「ケータイ依存」から我が子を救う「親と子のルール」』(主婦の友社)など

――今、小学生の間でスマホの普及は進んでいますか。

藤川大祐氏(以下、藤川) 広まっていますが、まだ普及率は低いです。

 内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、2012年度の小学生(4年生以上)の携帯電話の全体所有率は27.5%です。そのうちスマホ所持率は、2011年度は0%だったのが、2012年度は7.6%に増加しました。

 ただ、携帯電話を持つ小学生の約6割は、機能が制限された子ども用ケータイを持っています。

――スマホを所持している子どもは少ないのですね。

藤川 ただし今後は、小学生のスマホ所持率は確実に急増します。

 また今でも、データ以上に普及している可能性は高いです。

 実は、通話機能はないが、スマホと同じくネットやアプリが使えるiPod touchを使って、スマホ的な使い方をしている子どもはかなり多いのです。スマホが欲しいけれど買ってもらえない子どもは、iPod touchを買ってもらいアプリを使っているという話をよく聞きます。

 それ以外にも、親が使っているスマホを一時的に借りる、また親が使わなくなった古いスマホを使う、という場合もあります。古いスマホは、通話や外出先での通信はできませんが、Wi-Fi環境がある場所では利用できます。

 スマホ自体の所有率は高いとはいえませんが、スマホ的な使い方を知っている小学生は増えている、と見るべきでしょう。

アップルのiPod touch。通話機能がないほかは、iPhoneとほぼ同等の性能、操作性を備える
アップルのiPod touch。通話機能がないほかは、iPhoneとほぼ同等の性能、操作性を備える

子ども用ケータイではダメな理由とは

――小学生であれば、スマホではなくとも、電話で連絡ができて通信料金も安い子ども用ケータイで事足りる気がします。

藤川 実は、そうもいかない事情があります。