この種の犯罪被害は中学生以上が多いですが、小学生でも被害に合うケースがありますので注意が必要です。

 被害が明るみになっているのは、小学生だと年間で数十件程度だと考えられます。ただ、こうした犯罪の場合、子どものほうもなかなか事情を明かしません。氷山の一角という可能性もあります。

――出会い系サイトをきっかけに犯罪に巻き込まれるのでしょうか。

藤川 少し前までは、出会い系サイトが中心でした。だが規制が厳しくなり、出会い系サイト絡みの犯罪はほとんどなくなっています。

 実はサイト側が年齢確認を必須にし、利用者が18歳以上であることを確認しなければ入会できない仕組みになったのです。

 もし小学生が使うとしたら、大人の身分証やクレジットカードをどこかから持ってこないかぎり、入会できません。なので、小学生が出会い系サイトへ簡単にアクセスできるわけではありません。

 ただ親ならば、自分の身分証やクレジットカードを、子どもの手の届かない場所に管理することも忘れないでください。

――ではSNSの利用がきっかけですか?

藤川 こちらも以前は、SNSや「前略プロフィール」などが問題になっていました。

 ですが、今は大手サイトは監視体制を強化。出会いにつながるものは全面的に禁止し、違反者には厳罰を課すため、犯罪は減ってきています。

LINEのIDはアプリの「設定」の中にある「プロフィール」で設定できる
LINEのIDはアプリの「設定」の中にある「プロフィール」で設定できる

 一方で、ここ1年で激増しているのは、LINEのIDを交換する掲示板をきっかけとした犯罪被害です。

 LINEにはユーザーが自分のIDを取得することができ、このIDを知っていれば、他の友人がユーザーを検索できます。このIDを公開すると、見知らぬ人との連絡が可能になり、犯罪へとつながっていくのです。

 子どもは、自分の電話番号やメールアドレスは教えたくないけれど、LINEのIDなら気軽に教えてしまうケースが多いのです。

 LINEのIDは、通常は変更できませんが、アプリを削除すれば新しいものが作れます。ですから、メールアドレスほど貴重なものとは子どもは感じないのです。

 その掲示板がきっかけで子どもへの犯罪(編集部注:中学生なども含む)につながったのが、今年の上半期だけで百数十件にものぼっています。LINEのやりとりは他人には見えにくいので、今後も増える可能性が高いでしょう。

スマホでの会話自体がストレスの種に

――先ほど、子どものスマホ利用の最大の問題は「依存」だとおっしゃいましたね。

藤川 例えば、今の小学生がアニメを見ようとすると、自分が生まれる前の動画など膨大な量のストックがYouTubeにアップされており、スマホで手軽に視聴できます。