「インフルエンザのワクチンは、一回の接種で充分な免疫ができません。接種した分は積立貯金のように免疫が足されていくので、接種し続けていくことで、予防効果が高まっていくことがわかっています。また、今後より効果の高いインフルエンザワクチンが承認されたり、新しく開発されることも期待されています」

 また、最後にこう加えました。「接種していても、栄養や睡眠をしっかり取ること、特に流行期は人混みを避ける、手洗い・うがいをする、などといった基本的なことも、とても大切です。赤ちゃんに接種するなら、予防効果の高い親や兄弟姉妹が予防接種をすること。家族全員の予防対策が重要です」

 私はこの考えに納得! でした。また別のPICU(小児のICU)に勤める小児科の先生は、こんなことをおっしゃっていました。

 「インフルエンザ脳症で亡くなる子、その前で泣き崩れる親御さんを前に『インフルエンザのワクチンを打っていれば…』とは口が割けても言えません。けれど、医師としてはそのような気持ちがある。予防接種を受けておくことで感染は防げないが重症化は防げるだろうというのが、多くの一般的な小児科医の考え方なのです」

 「犠牲になる人を減らすためには(ゼロにすることは無理でしょうから)“インフルエンザでは救命不可能な患者さんが出ることもあるので、予防接種をきちんと受けておく、かかった人はきちんと休む(周りの人に感染を広げない)”などの対策しかないかと思います」

 先生たちの回答を聞いて、みんなで病気の流行を防ぐことが重要だということを改めて感じます。

インフルエンザにかかったら、すぐ受診?

 子どもの病気についての講座の講師をお願いしたある小児科の先生が次のようなクイズを出してくださったことがあります。

Q.子どもがインフルエンザになってしまった!? 今、すべきことで、正しい対処は次のどれでしょうか。

1.すぐに病院へ行く
2.家で寝ている
3.市販薬を飲む