今まで仕事中心の生活をしてきた女性でも、妊娠するとなるべく体に負担がかからないような働き方を考えたくなりますね。妊娠中の体調は人それぞれですが、周囲には妊婦の体調は分からないものです。また、職場にいるときは「迷惑をかけまい」と自分が思っている以上に頑張りすぎて、帰宅途中や帰宅後にほっとした瞬間にどっと疲れが出る、なんてこともあるのではないでしょうか。妊娠中、無理は禁物です。

法律で定められた妊産婦の働き方について知っていますか?

 労働基準法には、妊娠した女性や産後1年を経過していない女性(妊産婦)の体の負担が軽くなるような働き方ができるルールが定められています。

 職場で女性が差別を受けずに、家庭と仕事が両立できるよう作られた法律「男女雇用機会均等法」により、女性の労働に対する規制は無くなりました。だからこそ、女性も男性同様の働き方ができるのですが、それでは逆に妊産婦には無理を強いることになりかねません。そこで「労働基準法」では、妊産婦本人が「請求」すれば、会社は時間外労働、休日労働、深夜業をさせることができないことになっています。

 妊娠する前には当たり前にこなしていた「残業」も、体調が不安定の妊婦にとっては、悩みの一つですよね。

 労働基準法では、「残業」について、原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないことになっています。ただ、業務の忙しさに合わせて労働時間を変える「変形労働時間制」が採用されている職場では、1日8時間、1週間40時間を厳密に当てはめるのではなく、例えば1カ月単位で見て、ある週の労働時間が40時間を超えていても他の週が少なく、平均して1週40時間であれば問題ないと考えます。

妊産婦は週40時間、1日8時間を超えてはならない

 ただ、それを妊産婦にあてはめることはできません。どの週も週40時間、1日8時間を超えることはできない、と法律で定められているのです。ただし、一定の時間帯の中で出勤と退勤時刻を自由に決められる「フレックスタイム制」は妊産婦に適用しても構いません。つわりなどで通常の時間帯に出勤が難しければ、出勤時刻を後ろにずらすなどして調整することは可能です。