写真右が今のアシスタント、西川かなさん。実際はアシスタントというより名パートナー。抱えている仕事をほぼすべて共有し、200%信頼している。
写真右が今のアシスタント、西川かなさん。実際はアシスタントというより名パートナー。抱えている仕事をほぼすべて共有し、200%信頼している。

 ちなみに、この活動の成果は新たな制度整備だけにとどまりませんでした。このプロジェクトの一環として、「ワーキングペアレンツの会」という名前の会も生まれました。自分の所属部署に育児中の社員がいなくても、この会に参加すれば同じ立場・状況にある他部署の社員と交流できるという会です。

 ワーママだけでなく育児中の男性社員も参加し、社内で育児に関する悩みや課題を共有し情報交換ができる場、育児の先輩に相談できる場となったのです。職場で育児への理解がなかなか得られずに孤独感、閉塞感を感じているなら、部署を超えた「仲間」を探してみてはいかがでしょうか。

「意見箱」設置で、部課の体制や環境も改善

 そうは言っても、会社に対して働きかけを行うのはハードルが高く、多大なエネルギーを要するのも事実です。組織風土によっては声を上げにくい会社もあるでしょう。でも、自分の所属部署からならば、一歩ずつ改善に近づいていくことは可能です。

 私は自分の課内で「意見箱」の設置を呼びかけ、実現したことがあります。「意見箱」と書いた箱をオフィスの一角に置いておき、日常業務の中で「ここを改善すればいいのに」「こんな仕組みがあればいいのに」など、誰もが感じたことを自由に投書できるという仕組みです。意見を出した人、提案が採用された人には相応のポイントを付与し、ポイントがたまったらカフェで使えるプリペイドカードなどの賞品も出すようにしました。こうした「お楽しみ」感覚で取り組めるのが受けてか、さまざまな意見が集まり、実際にいくつかのアイデアが取り入れられました。

 自分の都合で新しい提案をすることは難しいもの。ならば、部署全体に「思い付いたアイデアはどんどん発信する」という空気や習慣を作ってみてはいかがでしょう。そして、自分にとってはもちろん、他のメンバーや組織全体にとってもメリットがもたらされるようなアイデアを練ることが大切。そうすれば、自身が働きやすい環境を手に入れられるだけでなく、社内での評価アップにもつながるはずです。

(ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子)