11月21日に『共働き夫婦のための「お金の教科書」 やらないと絶対ソンをする「貯め方」「使い方」のルール』(講談社)を出版した、ファイナンシャルプランナーで株式会社生活設計塾クルー取締役の深田晶恵さん。

 日経DUAL編集部が、忙しい共働き夫婦が手間をかけずにお金をためるノウハウを、深田さんにインタビューしました。(4回掲載予定)

「ためる危機感」がないのが大問題

――深田さんの新著を拝見してハッとしたのが、「片働き夫婦より、共働き夫婦の方がお金がたまっていない!」と書かれていたことです。これは本当ですか?

深田晶恵(以下、深田) 読者の方にもよくそう聞かれます。共働きの方が世帯収入が多くなるのだから、「お金はたまって当然」と思ってしまいますよね?

 でも、実はその反対。貯蓄額を見ると、10年前の片働き夫婦よりも今の共働き夫婦の方が格段に少ないのが現実です。

 ファイナンシャルプランナー(FP)になって17年。これまで多くの家計相談を受けてきました。最近は共働きの夫婦が増えていて、お二人で相談にみえる方もたくさんいます。そんな中で、「このご夫婦、本来ならもっとお金をためる実力があるのに……」と見受けられる例は、数多くあります。

 私は本を書くとき、自分が受けた相談を通して「このままではまずい!世の中に伝えなくては」と感じたことをテーマにしています。今回は、多くの共働き夫婦が意外にもお金をためていないことに気づいたのがきっかけ。「これは改善する必要があるな」と思い、ペンをとったわけです。

――なぜ、共働き夫婦のほうが、お金がたまらないのでしょう?

深田 「共働きだからたくさんためられる」。多くのご夫婦が持っているこの思い込みが、実は、大きな落とし穴だと思います。

 私も多くのご夫婦へアドバイスをしながら、お金がたまらない理由を真剣に考えるうちに、『共働き「だから」たまらない』ということが分かってきました。

 要するに、「このままではお金が足りなくなる」という危機感がないのです、共働きには。2人分の収入があるので、独身時代の感覚で好きなようにお金を使ってしまう。それに「パートナーはきっとためてるだろう」と、お互いに変な安心感を抱いてしまい、フタを開けたら二人とも全然ためていなかったというご夫婦がかなりいます。

 その点、妻が専業主婦というご家庭のほうが、ずっと頑張って貯蓄していると感じます。何と言っても妻は、夫の収入だけで自分や子供たちの生活費をやりくりしないといけないので、結婚した途端に「やりくりモード」のスイッチが入るからです。

――共働きの女性のほうが経済やお金について分かっている、というイメージがあります。

深田 でも、仕事をバリバリこなすビジネスウーマンでも、お金のことはてんでダメという人、多いですよ。

 この点、専業主婦のほうがよっぽど詳しかったりするものです。マネー誌を買い込んで、有利な金融商品をチェックしたりする人もたくさんいますしね。

 繰り返しになりますが、両者の違いは「お金をためないとマズイ」という危機感があるかどうかの違いだと思います。共働きになると、この危機感が薄れがちなのです。

「1カ月に自由に使える金額」をあなたは言えるか?