――メッセージカードを持つようになったのはなぜですか?
「ただ立っているより、何か健康に関することを意識させたいと思って。『動く掲示板』みたいなもの(笑)」
――毎朝、私自身がドキっとするんですよ、このメッセージボード。「何時に寝た?」と聞かれると、ああ、夕べも5歳の娘をやっと寝かしつけたのが、22時だったなぁとか、クッキーとバナナ程度の朝ご飯しか食べてないんちゃうかな、とか。
「本当は、おうちの方に伝えたいメッセージでもあるんですけど、それぞれ事情もあって難しいですよね。極端なケースでは、朝、家に食べる物が無いこともある。そういった家庭には、子ども自身に『夕方、明日のパンの1個でも買っときや』と指導をする考え方もありますね」
――民間校長として小学校に来て思ったのは、「小学校の指導範囲が増えている」ことです。「それは家庭の問題」と言われた健康管理まで、学校が気にかけている。本来は家庭教育の部分だったものに、保護者の手が回らない。「とりあえず毎日をこなす」ので精いっぱいの家庭、特に寝かしつけの時間に両親がそろわないところはしんどい。我が家も、夫に任せる夜が多いんで……
「保護者とつながることもあきらめたくはないんですが、目の前の子ども自身を変えていく必要もあります。でも、『これが守れなきゃダメ!』みたいに窮屈にするのは、しんどいでしょ(笑)。だから、朝のメッセージボードを見て『朝ごはん食べて来たよ』『昨日は早く寝た!』という子を褒めて、『ああ、褒められるっていいな、僕もやろう』と思ってもらえたらな、と考えています」
「笑顔で『いってらっしゃい』」だけ、お願いしたい
――金曜日によく登場する「つめきり曜日」のメッセージもいいですね。週明けにチェックのためのカードが出てくるので、私もこの1カ月半で習慣づきました(笑)
「月曜日に爪を見せてくれる子は、増えましたね。クイズにしたり、ストーリー仕立てにしたり、子どもにどうすれば伝わるか、あちこちからネタを集めています。」
自分で寝る時間を宣言する、そのためにテレビを早く消したり、さっさとお風呂に入ったり、早く寝るための「作戦」を自分で決めます。「宣言」とか「作戦」とか、小学生は好きですよね。