こんにちは。料理研究家の武蔵裕子です。わが家の息子たちは今は成人していますが、現在も家から出勤しており、毎日私は家族5人分のごはんを作っています。息子たちは双子だったので、両親のごはんとともに、とにかく子育ての時期は料理の支度でてんてこ舞いの日々でした。お弁当作りも9年しました。だから、共働きママの「ちゃんとごはんを食べさせたい、でも時間がない」というジレンマ、よーく分かるつもりです。

 私自身が子育てしながら編み出してきた、子育てごはんのちょっとしたコツや手抜き術を、この場ではどんどんシェアしていきたいと思います。

(日経DUAL特選シリーズ/2013年11月収録記事を再編集したものです。)

野菜を切っておくだけで毎日のイライラにさよなら!

 今回、まず一番目にみなさんにお伝えしたいのが、野菜はとにかく切っておこう というコツです。

 ん? 面倒だと思いますか? いえいえとんでもない。野菜を切ることで、どれだけ気持ちがラクになることか。

 仕事で疲れて子どものお迎えをし、ようやく帰宅。息つく暇なく「お腹空いた~」の声が始まり、子ども同士が兄弟ゲンカしたり、「ママ、このプリント、はんこ押してない」などと集中力を乱してきたりします。

 そんなときに、冷蔵庫から重たいキャベツや白菜を取り出したり、しっかり束ねられた小松菜をテープから外したり、ピーマンの種を取り除いたり、切った野菜の水気を取ったりしていると、だんだんだんだん、イライラしてきます(笑)。で、子どもを叱ったり、根負けしてお菓子を食べさせてしまったり、「あ~、もう料理なんて面倒臭い」と嫌になってしまうものです。

 でも、野菜をあらかじめ洗って切っておきさえすれば、帰宅して荷物を置いたその瞬間に料理を始められます! キャベツに、ブロッコリー、なんでも切ってあるから、料理中にふと「あ、味噌汁」と思い付いたら即、お鍋にぽんぽん放り込むだけで、具だくさん味噌汁の出来上がり。サラダの野菜だって、もう切ってあるから、お皿に盛り付けるだけ。おいしいドレッシングやアレンジマヨネーズを作る余裕もできます。手間無しでどんどん野菜を料理に加えられるから、「野菜を食べさせなきゃ」なんていうプレッシャーからも解放されるというわけ。

 さらに大事なことをもう一つ。野菜を切っておく作業は下の2つだけ。

●料理のとき、まな板と包丁を出したついでに、やっておくこと
●週末にまとめ買いしてちょっと時間があるときは、冷蔵庫に入れる前に洗って切って、保存袋に入れておくこと

 ぜひやってみてください。「作り置き」というと、そのために時間を作らなければいけない“わざわざ感”があって、「時間がある人にしかできない」と敬遠してしまうものです。でも、料理の最中に、その日使わない分も余分に切っておくよう、ほんのひと手間を習慣づければ、翌日の下ごしらえも完了して、心も晴れ晴れ。いつも冷蔵庫に切った野菜があると思うだけで、料理をする面倒さがなくなるから不思議。帰宅中に「今日はあれとあれを組み合わせて炒めよう」というふうに、レシピの組み立てもどんどんスムーズになっていきますよ。

 次ページでは具体的な切る方法をお伝えします。