首都圏では6~7人に1人が挑戦している中学受験。忙しい共働き家庭でも、もはや珍しいことではなくなっている。中学受験の現状を踏まえたうえで、失敗しないための受験に向けての取り組みを、2回にわたって紹介する。

 一昔前は、共働き家庭の中学受験は難しいとされていた。塾の送迎や宿題のチェックなど、親の負担も大きいためだ。しかし近年、その様相は一変した。「当塾では5年ほど前から、専業主婦世帯よりも共働き世帯の占める割合が多くなりました。説明会なども父親の参加が増えています」と語るのは、中学受験のエキスパートで、「お母さんの勉強室」「花マル笑子塾」を主宰する吉本笑子さんだ。

ピークを超えた私立中学受験ブーム

 その要因として、首都圏では中学受験が定着したことが挙げられる。公立校への不信から私立志向が進み、好景気と相まって2007年には受験者数がピークを迎えた(図1)。リーマン・ショック後、「私立中学受験ブーム」は去ったものの、難関校や上位私立大付属校などは依然として人気が高く、特色ある教育内容や卒業生の進学実績などから「公立中高一貫校ブーム」とも言えるムーブメントも起きている(図2)。そのような状況から、「弁当を持参しなくてもよかったり、自宅学習の負担を減らしたりするような、共働き家庭に配慮した対応をする塾も増えています」と教育ジャーナリストの杉山由美子さんは指摘する。

図1 2月1日は東京、神奈川の中学受験解禁日。東京、神奈川のほとんどの受験生が、首都圏では9割以上がいずれかの中学校を受験する。2013年2月1日の私立中学受験者数は3万7006人で、2007年をピークに減少し続けている(首都圏公立中高一貫校、国立中学は2月1日に入試を実施しないためデータには含まれない)
図1 2月1日は東京、神奈川の中学受験解禁日。東京、神奈川のほとんどの受験生が、首都圏では9割以上がいずれかの中学校を受験する。2013年2月1日の私立中学受験者数は3万7006人で、2007年をピークに減少し続けている(首都圏公立中高一貫校、国立中学は2月1日に入試を実施しないためデータには含まれない)