こんにちは。社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝です。女性が活躍する職場がたくさん増えてきましたね。とはいえ、「実績や経験、周囲からの理解はまだまだこれから」の部分もあります。このようなフロンティアでは、女性一人ひとりの経験をみんなで共有することによってより良い一歩が踏み出せるものだと、日々、現場で活躍する女性たちの声を聞いて実感しています。

 私自身、事務所を開設して20年以上になりますが、修業時代というものは忙しいばかり。子育てをしながら、いかに効率的に成果を上げて、自分や家族の時間を確保するか、知恵を絞ってやってまいりました。そのためには、上手にこなしている人から教えてもらうこともありましたし、板前修業のように師や先輩を上手にまねて自分のものにするという方法も取ってきました。

 肝心なのは、自分で状況をしっかりと把握し、自分の判断で動くことです。そのためにも、正確で適切な情報をいかに活用するかがポイントになります。このコラムでは、働く女性、働くママに知っていただきたい法律やお金について取り上げています。社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーとして、妊娠・出産・子育てを経て働き続けるみなさんが、オフィスで「困った!」というときに役に立つ法律やお金の基礎知識を分かりやすく解説し、上手に活用する方法をお伝えしていきたいと思っています。

正社員はもちろん、契約社員、パートタイムでも取得できる

 赤ちゃんを育てながら会社へ通うことは大変です。そこで1歳未満の子どもを育てる女性も男性も、「育児・介護休業法」で定められた「育児休業」制度(育休)を利用して子育てに専念することができます。最近では「3年育休」の検討が話題になっていますが、現状の制度を見てみましょう。

 正社員はもちろん、契約社員(期間雇用者)やパートタイムで働く人も、以下の条件を満たせば育児休業を利用できる対象になります。

<育休制度を利用できる条件>

(1)同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること

(2)子どもが1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。日々雇用者(日雇いの労働者)を除く。

パパの育休と組み合わせると最長1歳2カ月まで取得できる

 休業できる期間は、原則として子どもが1歳になるまで(女性は産後休暇8週間を含めて最大1年間、男性は最大1年間)ですが、夫と妻がともに育休を取った時は「パパ・ママ育休プラス」という2カ月間の延長制度が利用でき、子どもが1歳2カ月になるまでの休業が認められます。また、「パパ・ママ育休プラス」制度の導入により、夫婦同時に育休を取得することもできるようになりました。

 実際に、いつからどれくらい、誰が休むのか、についてはパートナーと2人で話し合って決めていきましょう。ここでは、3つのパターンを紹介します。

パターン(1)ママと交代でパパも育休を取得

ママ:できるだけ早く職場復帰したい

パパ:育児を経験してみたいという気持ちがある

【取得例】 データ/厚生労働省
【取得例】 データ/厚生労働省

パターン(2)ママの産休中と育休明けにパパが2回取得

ママ:産後と復帰後にサポートが欲しい

パパ:ママが大変な時期に合わせてサポートしたい

 子どもが生まれてすぐのママは体調も優れず、家事も思うようにできません。また、職場復帰直後のママは、仕事のリズムを取り戻すのが大変です。子どもも保育園に通い始めるなど、家族全体で環境の変化に慣らしていく工夫が必要になります。そこで、産休期間や復帰直後の2カ月間をパパが「パパ・ママ育休プラス」を使って休み、ママの復帰や慣らし保育のサポートをするというかたちもあります。

 育休が取れるのは、同じ子どもに対しては原則1回です。ただ出生後8週間以内(妻の産後休暇中)に夫が取った休業は回数に含まれないので、いったん職場復帰して、また育休を取るということもできます。→パターン(2)を参照