8位【杉並区】 この3年間で入園事情が大幅に改善

入園決定率 73.9%
 4年前(2014年度)に42.7%だった杉並区の入園決定率は、その後年々上昇し、2018年度は73.9%と大幅改善した。これにより、23区で8番目に入りやすい区となった。「保育園一揆」が起こった地であり、自治体の努力が感じられる。認可保育所数は、この2年間で40園増加しているほか、小規模保育も18園増加している。杉並区には、独自の緊急対策として作った杉並区保育室が21か所あるがこちらの数は減らしている(2018年10月時点)。また、区立幼稚園で3歳以上の長時間保育児を預かるようにした区立子供園も6カ所あり、2018年度から子ども・子育て支援新制度に移行したとしているが、利用調整を認可保育所等よりも先行させるなど、認定こども園とは異なる入園決定方式をとっている。

認可整備率 92.6%
 認可整備率(=認可・認可外を合わせた全体の定員に対する認可保育施設・事業の定員の割合)は、認可保育所の新設により2017年度よりも0.5ポイント上昇した。

認可保育所の園庭保有率 50.0%
 2017年の58.5%から8.5ポイントも低下しており、認可保育所を急整備しているためか、園庭保有率は急速に低下している。有効回答99市区の平均を23.8ポイント下回っている。

認可の保育料
 3歳未満児(保育標準時間)で、最高所得階層8万9000円、中間所得階層2万5900円。2018年度から最高所得階層額が大幅な値上げとなり、23区で最も高い保育料となった。認証保育所、その他の認可外保育施設の利用者に対しては、認可保育所との差額(上限あり)を補助しており、杉並区保育室(委託型)の利用者に対しては、杉並区保育室(直営型)との差額を補助している。

病児・病後児保育
 区内3カ所で実施。

そのほか
 子育て世代に人気の区であり、長年にわたり待機児童の増加に悩み、杉並区保育室など独自の施策を打ち出してきた。2013年に保護者の異議申立て活動(「保育園一揆」と呼ばれた)があって注目され、待機児童対策に力を入れてきた。2016年に「2017年4月に待機児童ゼロを達成する」と宣言したが果たせず、2018年4月時点での国への報告数値の待機児童数でゼロを達成した。

 「保育園を考える親の会『100都市保育力充実度チェック』2018年度調査結果速報(後編)」では、23区内でワースト1位・2位だった港区と台東区の調査結果をお伝えします。

  「保育園を考える親の会」では本調査をまとめた小冊子「100都市保育力充実度チェック」を頒布しています。また、同調査の結果は、日経DUALのサイト内でも掲載を予定しています(2019年1月頃を予定)。「保育園検索」のタブ(またはこちらhttps://dual.nikkei.co.jp/nursery/)→「自治体情報」を順次クリックするとアクセスできます。東京23区内のほか、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府の63自治体、計86自治体の状況をご紹介していく予定です。2019年度の保活に、ぜひご活用ください。

この記事の関連URL
保育園を考える親の会 http://hoikuoyanokai.com

(写真:鈴木愛子)

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