育休明けに部長に抜擢されるも、空回りして孤立を経験
ブロッコリーの抽出物を利用した健康サプリメント「ブロリコ」を製造・販売する、イマジン・グローバル・ケアで働く瀧口景子さん。同社の社員30人(内女性社員20人)のうち12人は働くママであり、育児中の女性が多く活躍している。瀧口さん自身も、3歳と1歳の子どもを育てながら、販売促進や顧客対応を手がけるカスタマーサービス部の部長。部下5人は全員女性で、うち4人はワーママだ。
34歳/第一子育休明けに、課長を飛び越え部長に抜擢!
瀧口さんが初めて管理職になったのは、34歳のとき。第一子の育休明けに部長職に抜擢された。
「産休・育休に入るまでは、社長と取締役以下全員一スタッフとして働いていたのですが、復帰のタイミングで組織体制を整えることになり、部長職を打診されました。課長経験もなくとても驚きましたが、ブロリコ事業の立ち上げメンバーの一人として、産休前からリーダー的な役割を担っていたのは事実。役職がつくことで自分ができることももっと増えるはずだと前向きに受け止め、管理職としてより自覚を持って責務を果たしたいと思いました」
瀧口さんにとって、本格的なマネジメント業務は初めての経験。ロールモデルも近くにおらず、手探り状態の日々が続いたそう。
「最初のころは、とにかくチームをまとめ、管理職として責務を果たさなければという思いが先立ち、肩に力が入り過ぎていました。例えば、メンバーの業務内容や進捗状況をすべて把握して、的確な指示を出さなければいけないと考え、『あれってどうなった?』『○○は終わった?』と、ことあるごとに口頭で確認。でも、部下の仕事の細かな進捗すべてを管理するというのは、物理的に無理がありますし、聞かれた側も、報告をするためにその都度業務を中断しなければなりません。一度報告を受けたものの、多岐にわたる情報を処理しきれず、再度確認が必要になることもありました。
さらに、復職したばかりで、自分の仕事をこなすのでも精一杯。限られた時間の中、集中して仕事をするために、誰かに話しかけられてもPC作業の手を止める余裕もなく、相手の顔も見ずに話を聞くというようなことも。自分なりに一生懸命やっていたつもりですが、そのときは部下の気持ちに寄り添うということができていませんでした……。いちスタッフのときは許されたかもしれませんが、上司としては失格です。気づいたら部下との間に溝ができ、部内の雰囲気は悪化。皆、昼休みの時間も惜しんで仕事をしているのに、成果もなかなか出ない。そんな悪循環に陥ってしまったんです」
そんな瀧口さんが「このままではいけない」と自覚するきっかけとなったのが、「ママ、最近すごく怖いよ」という夫の一言。
「私に意見することなんて滅多にない夫から、『怖い』と言われたのは大きなショックでした。それまでの私は段取りと準備をすることで、効率よく物事を進めるタイプ。きっちりと計画通りに進めたいのに、育児も仕事も自分が思うようには進まない。仕事ですべてを把握しようとしていたように、家庭でもきっちり物事を進めようとして、ピリピリしていたのでしょう。夫が言うくらいだから、職場の皆もきっと同じことを思っているはず。今の自分を変えないと、チームがダメになってしまうと、危機感を持ちました」