感染力が強いインフルエンザは、保育園で流行することがあります。かかってしまうと最短でも6日間の登園禁止になるうえ、重症化のリスクもあるインフルエンザは、なるべくかからないようにしたいもの。子どもを守るために、普段から心がけたい予防策をおさらいするとともに、今シーズンの最新情報をお届けします。

【保育園のママ・パパ向け/病気・ストレス・体】
(1) 子どもを守るインフルエンザ対策と受診の目安  ←今回はココ
(2) 感染力の強いノロウイルス 予防対策とおうちケア
(3) 空気感染のみずぼうそう、難聴が怖いおたふくかぜ
(4) 子どもが病気に 登園基準と病児保育・病後児保育

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

マスクなしでくしゃみをするとウイルスが4メートルも飛ぶ

 インフルエンザが全国的に猛威をふるっています。全国約5000カ所の医療機関が1月23~29日の間に報告した患者数は、1医療機関当たり39.41人で、「警報レベル」の目安となる30人を全国平均で大きく上回っています。

 インフルエンザの感染経路は、患者のせきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染と、ウイルスが付着した手で口や鼻などに触れることによる接触感染です。感染した人がマスクをせずにくしゃみをすると、ウイルスを含んだ飛沫は約4メートル飛んで、落ちると言われているそうです。

 まずは、こうした感染経路を絶つことが大切です。

 ユアクリニックお茶の水院長・小児科医の杉原桂医師は、インフルエンザの対策として、次の4つのポイントを挙げます。

① 手洗い・うがい

 園から帰ったときや、食事の前には、手洗い・うがいの徹底を。手洗いは、歌を1曲歌い終えるくらいの時間をかけて丁寧に行う。インフルエンザウイルスは水で簡単に洗い流すことができるが、他の感染症予防のためにも、せっけんを使った丁寧な手洗いは大切。

② ワクチン接種

→詳しくは次のページで

③ マスクを着用

 くしゃみやせきが出るときはマスクをする。隙間ができないよう子どもの顔の大きさにフィットしたもので、ウイルスをブロックできる品質のものを選ぶ。

 ただし、健康な人がマスクをすることでの予防効果はそれほど期待できない。マスクをしてもすべての飛沫を吸い込まないようにすることはできないため。流行時期は人混みを避ける、症状が出ている人との接触を避ける、調子が悪いときは外出しないことが大切。

④ 部屋を加湿する

 インフルエンザウイルスは低温・低湿を好む。湿度が50~60%だとウイルスの活性を抑えられるので加湿器を使う。

 子どもが長い時間を過ごす保育園では、感染を避けるのがどうしても難しい部分があるかもしれません。しかし、子どもに手洗い・うがいの大切さを教えたり、シーズン前に必ずワクチンを接種しておくこと、マスクを着用させること、流行期には休日の外出を控えることなどの工夫はとても重要です。

<次ページからの内容>
・ワクチンは感染を防ぐものではなく「重症化を防ぐ」もの
・発症から2~8時間で診断できる検査機器も登場
・受診のタイミングは? いつから園に行ってもいい?