リビングは家族との大切な時間を過ごす場所。同時に家事や育児、学習、仕事など様々な「やるべきこと」をこなす場でもあります。それに伴い、色々な「もの」が集中してしまうのは仕方がないこと。上手な収納で、暮らしやすいリビング空間を確保したいですね。
 そこで「『リビング上手』は子育て上手!」特集の第4回では積水ハウスで共働きの家づくりについての研究を行っている河崎由美子さんに、共働きにベストな収納法や問題点の解決法をお聞きしました。最終ページでは実際の共働き夫婦の住まいをレポート。収納の工夫と暮らしやすい住まいをご紹介します。

※近年、日本の住宅ではリビング、ダイニング、キッチンが一続きとなった空間が増えていることから、本特集ではダイニング、キッチンもリビングの一部として扱います(例えばダイニングテーブルで学習することをリビング学習と呼ぶなど)。

【「リビング上手」は子育て上手!特集】
第1回 中庭、個室とひと続き 遊ぶ子たちを見守るリビング
第2回 自己主張期に効果「自分でお支度」リビング収納
第3回 窓に落書き、壁に貼り絵で自己肯定感が高まる部屋
第4回 リビングを1畳減らす勇気で「ものだらけ」が解消 ←今回はココ
第5回 子のことがよく見えるリビングで「叱る」が減った

リビング収納の理想は家族の誰にも一目で分かること

 「『しまう』という言葉は漢字では『仕舞う』と書きます。これはもともとは次の動作のために良い状態にしておくということです」と話すのは積水ハウスで子どものための住まい環境を研究している河崎由美子さん。「つまり、しまう=収納とは、しまうときのしまいやすさよりも、次にさっと出せることが大事なのです」。確かに、しまうときは引き出しや箱にギュッと押し込めばそれでおしまいです。でも、それだと、次に出すときは探すのが大変。重なり合ってどんどん奥へおいやられているかもしれません。

 「色々な人が出入りするリビングでは、欲しいものを欲しいときにサッと出せることは大切です。理想はどこに行けば何があるというのを覚えなくても、くるっと見回せばすぐ見つかるユニバーサルな収納。これなら、たまに手伝いに来る祖父母やシッターさんに分かりやすく説明しなくても済みます。子どもに『お母さん、セロテープどこ?』『切手はどこ?』と聞かれることも減りますよ」

パパが家事をしないのはしまう場所が分からないから

 「イクメンさんも増えていますが、家事に関してはまだママがリードする家庭が多いのではないでしょうか。パパが家事が苦手な理由は、やるとママに怒られてしまうからです。どこに何があるか分からないから聞くとイヤな顔をされてしまう。どこにしまったらいいか分からないので適当に置くと後で騒ぎになる。だから手出しをしないという悪循環になってしまうのですね。今回は大ざっぱなパパが多少ずれた場所に置いてもOKで、次の人も快適に使える収納をご紹介します」

<次ページからの内容>
・ リビング収納の悩みを解決する魔法の小部屋「リビクロ」
・ 共働きリビング周りにあるもの一覧
・ 1畳分収納に取られても部屋を狭く感じない理由は?
・ 棚の奥行きは15㎝刻みで考える アイテム別 相性のいい奥行き
・ 「リビクロ」ですっきり暮らすUさんのリビング

次ページから読める内容

  • リビング収納の悩みを解決する魔法の小部屋「リビクロ」
  • 1畳分収納に取られても部屋を狭く感じない理由は?
  • 深過ぎる奥行きは「出しにくさ・入れにくさ」の原因
  • 棚の奥行きは15㎝刻みで考える アイテム別 相性のいい奥行き
  • 棚間隔は中央は狭く、上下は広く開ける
  • 子どもの収納はハードルを下げると親のストレスが減る
  • 「リビクロ」ですっきり暮らすUさんのリビング
  • 物があふれがちな子育て家庭のリビングにも「表と裏」の考え方を