家にいる時間が制限される共働き家庭にとって、リビングは特別な空間です。家族でご飯を食べて「行ってきます」と会社や学校などそれぞれのフィールドに出ていく朝。色々な体験をして、様々な思いを抱えながら戻ってくる夕方。リビングは出発点であり、家族の再集合場所です。
 子どもが素に戻り、親子で喜びや悲しみを共有し、発散できるのがリビング。食事やテレビ、学習、親の仕事観を伝えたり、子どもからのシグナルをキャッチしたりする場でもあります。リビングで過ごす時間を工夫すれば、子育てもうまくいきそうですね。
 そんなリビングを活用した子育てのヒントを探るために、編集部はリビング上手なお宅を訪問。住まいづくりのプロにも話を伺いました。特集第1回は、あえて個室を小さくすることで得た開放的なリビングで4人の子どもたちを育てるYさんのお宅を紹介します。

※近年、日本の住宅ではリビング、ダイニング、キッチンが一続きとなった空間が増えていることから、本特集ではダイニング、キッチンもリビングの一部として扱います(例えばダイニングテーブルで学習することをリビング学習と呼ぶなど)。

【「リビング上手」は子育て上手!特集】
第1回 中庭、個室とひと続き 遊ぶ子たちを見守るリビング ←今回はココ
第2回 自己主張に効果あり「自分でお支度」リビング収納
第3回 窓に落書き、壁に貼り絵で自己肯定感が高まる部屋
第4回 リビングを1畳減らす勇気で「ものだらけ」が解消
第5回 子のことがよく見えるリビングで「叱る」が減った

Yさんファミリー
不動産会社に勤める夫(40代)、妻(30代)、長女(9歳)、次女(6歳)、三女(4歳)、長男(1歳)、愛犬の6人+1匹暮らし。以前は横浜市内のマンションに住んでいたが、第4子誕生をきっかけに神奈川県の湘南エリアに家を建てた。

4人の子どもが走り回れる開放的なリビング

中庭側から見たLDKの全景。木の質感を生かした内装が、にぎやかな6人家族にぴったりです
中庭側から見たLDKの全景。木の質感を生かした内装が、にぎやかな6人家族にぴったりです

 海岸から徒歩5分という絶好のロケーションで、4人の子どもたちとにぎやかに暮らすYさん夫妻。第4子となる長男が生まれるのを機に家を建てることにし、2年前にこのエリアに移り住みました。

「前に住んでいたのは80平方メートル、3LDKのマンション。家自体は気に入っていましたが、さすがに子ども4人が住むには狭過ぎるなと、家を建てることを決めました。海が身近な湘南を選んだのは、子どもたちを伸び伸び育てたかったから。僕たち夫婦は地方ののんびりした環境で育ったので、自分の子どもたちにも、同じように自然の中で過ごしてほしかったんです」

 不動産会社に勤め、多くの物件を見てきたYさん。自分の家にも強いこだわりを持っていただけに、間取りの自由度が高く、自分の意見を反映しやすい建築家との家作りを選んだそう。そんなYさんが、家づくりで最もこだわった場所が、リビングでした。

「なんせ4人も子どもがいますから、彼らが思いきり走り回ってもいいように、とにかくリビングを広くしたかった。それと、子どもが成長してもなるべく個室にこもらないで、リビングでみんなと過ごしてほしかったんです。だから、寝室や子ども部屋などの個室は一部屋2m×2m程度。ベッドと机が置ければ十分と考えました」