「自分」から「部下」に視点をシフト
子どもが生まれるまでの私は、仕事人間でした。30代で10人以上の部下を持つポジションに立ちましたが、正直、ワンマンだったと思います(笑)。結果を出すには自分でやるしかない、それには残業は当たり前、足りなければ睡眠時間を削ればいいというように、時間軸の思考しかありませんでした。
しかし40代に入り、ひとつの転機が訪れました。熱望していた子どもが生まれたことです。子育てを妻任せにするのではなく、自ら深く関わりたい――。そう強く思い、これまでの働き方を見直す決心をしました。
重責あるポジションにいる自分が、仕事と家事・育児を両立させるにはどうすればいいか。そう考えたとき、次の3つを意識しました。
1つ目は、部下を育成し、彼らの能力を活用すること。すべての業務に自分が関与しないと気が済まないたちでしたが、視点を部下へとシフトさせました。部下を信頼し、一人ひとりに、自らの能力を発揮できるようなプロジェクトを与え、部下を成長させるとともに部署の業績を上げていく。そこに力を注いだのです。
2つ目が、スケジュールを先の先まで俯瞰すること。数週間、できればもう少し先まで見越して、どのタイミングでどの仕事のどういうデータを誰からもらって進めるか、詳細に考えるようにしました。ある仕事が滞留すると、子どもの発熱など緊急の用事ができても身動きがとれません。先まで見越して準備しておけば、多少の時間的余裕が生まれると考えたのです。
そして3つ目が、優先順位をできるだけ明確にすること。本当に自分がやらなければいけないことは何か、やらなくてもいいことは何なのかを考えるようにしました。例えば、会議ひとつにしても、「自分は発信できない」「機会がない」と思うような会議には出席を見合わせるようにしました。自分のコントロール下に置けないようなものは潔く切り捨てる。そうすることで、時間を捻出しています。
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