これから夏にかけて日差しが強くなる時期、子ども達は太陽に負けないエネルギーで元気いっぱいですが、大人は日ごろの忙しさや蒸し暑さでちょっとお疲れ気味。「遊んで、遊んで~」という子どもからの誘いに、気力も体力も追い付かないというときがあるかもしれません。子どもが喜ぶ遊びのバリエーションもネタが尽きてきて、週末の1日が持たない……そんなときに役立つ「遊びノウハウ」を家庭で取り入れてもらうべく、日経DUALでは、「パパの外遊び、おうち遊び特集」を企画。水遊びや自然体験が心地良い季節、子ども心をわしづかみにする外遊びや雨の日でも楽しめる手作りおもちゃのアイデアを、7万人以上もの親子に遊びを伝えてきた子どもの遊びの専門家、愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さんから教えてもらいました。

 特集前半では、外遊びの中でも子どもに人気の泥遊びや砂遊びのアイデア。後半では、作って一緒に遊ぶことで親子の絆が強くなる「手作りおもちゃ」を紹介します。平日はなかなか子どもと触れ合う機会がないというパパも、週末にママへ自分時間をプレゼントするチャンス。ぜひ試してみてくださいね。第1回は、楽しいだけじゃない! 泥遊びの効用について聞いていきます。

【パパの外遊び、おうち遊び 特集】
第1回 五感を磨き、生きる力の基礎となる泥&土遊び ←今回はココ
第2回 脳に効き、創造力を育む 泥&土遊び4選
第3回 雨の日の室内遊びにぴったり! 手作りおもちゃ5選
第4回 5分でロケット完成! 幼児向け手作りおもちゃ5選
第5回 元気の源になる! 小学生向け手作りおもちゃ5選

 昨年夏の特集では、夏にぴったりな水遊びの効用や遊び方のポイントについて紹介しました。水遊びはただ楽しいだけでなく、感性を磨いたり、生きるエネルギーを与えたりしてくれる重要な遊び。子どもが喜び、発達に良い影響がある自然との触れ合い遊びについてもっと知りたいと、今回の取材では土遊びに注目し、その効用と楽しく遊ぶためのポイントを愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さんに教えてもらいました。

真の知性を育むために、感性を育む体験は不可欠

愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さん
愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さん

 幼児期は「感性」を育てることに重点を置きますが、学童期へと成長するにつれて、子どもの学力面に関わる「知性」を育てることへと親の関心がシフトしていきがち。でも、知性を育むためには、まず感性をしっかり育むことが前提条件であり、一番大事なことであると、竹井さんは言います。

 「人は自分を取り巻くすべての情報を満遍なく取り入れるのではなく、自分が聴きたいと思った音楽だったり、好きなお話、見たいものなど、心のアンテナに引っかかる情報を常に取捨選択しています。自分が求める情報を的確にキャッチする力の基礎となるのが『感性』。子どもは感性を駆使して、この世の中にあるいろんな情報を選択して、体の中に取り入れていきます。

 その力は、人間として成長する過程においてとても大事。もし、すべての情報をそのまま取り入れていたら、その人らしさ、つまり個性は無くなってしまい、本当の意味での知性も育ちません。だからこそ、子どもは遊びの中でまず、感性を育みながら知性も豊かになるように育てていくのが一番なのです」と竹井さん。

 それでは、知性の基礎となる子どもの感性を育むためには、どのような遊びをするのがいいのでしょうか?

<次ページからの内容>
・泥土は感性を磨くための最強の万能素材!
・粘土質の泥で、ひんやり爽快“にゅるにゅる体験”
・子どもの感性と知性は両輪で育つ!
・賢い子どもは“生きる力”も育つ