親子で“共感体験” 土を触ったときの気持ちよさが大事
「土」とひと言で言っても、その特性は様々。砂のような粒度の大きいものもあれば、粘土質の土のように、非常に細かいものまであります。土は子どもの感性を磨いてくれるため、竹井さんは、「多様な環境で、色々な土に触れさせてあげてほしい」と言います。
土遊びには感性を育む「感触遊び」と、形のあるものを作る、可塑性による「モノ作り遊び」、人間関係を育む「ごっこ遊び」の3つの種類があると、前回竹井さんから聞きました。それでは実際に土を使って子どもと遊ぶとき、親はどういうことを心がけて遊べばいいのか、聞いてみました。
「まず、1つ目の『感触遊び』ですが、粘土質の泥なら『冷たくて気持ちいいね』とか、『にゅるにゅるして気持ちいいね』など。砂で遊ぶなら、手に砂をかけて「サラサラの砂が気持ちいいね」など、色々な心地よい刺激を与えて、感覚遊びをすることが大切です。
そのときに、ぜひパパやママに心がけてほしいのは、親子で“共感体験”をするということです。一緒に感覚遊びをしてみて、“気持ちいいね”とか、“心地いいね”といったいいイメージを一緒に体験しながら共感できるように声掛けしながら遊んでほしいと思います。感触遊びで大事なのは「気持ちいいかどうか」。気持ちよければ楽しいので、次の遊びへと展開できるはずです。間違っても、気持ちよくなるハズもない、炎天下で汗だくになって遊ぶといったことは避けてくださいね(笑)」
子どもの面白がりポイントを観察し、臨機応変に!
2つ目の「モノ作り遊び」や3つ目の「ごっこ遊び」などに関して、竹井さんは次のようにアドバイスします。
「作りたいモノがどうしたら作れるか、親子の共通の話題ができ、『どうやったらキレイな丸の形になるんだろう?』と団子作りで盛り上がれます。注意してほしいのは、例えば泥だんごを作って、そこから団子屋さんなどのごっこ遊びに発展していったのなら、形にこだわってはいけません。あくまでも遊びを楽しむためのツールですから、そこで、パパはストレートに『キレイな団子にしないと!』と言ってしまいがちです。しかし、子どもはごっこ遊びを楽しもうとしているのに、作ったものに対するネガティブな評価をされると遊ぼうという気持ちがそがれてしまいます。たとえどんな形でも『おいしそうだね~』と子どもの気持ちに寄り添ってあげてください」
そう言われてしまうと、困惑するパパも多いと思いますが、土遊びをするうえで、親が注意するポイントはただ1つ。
「どんな土遊びでも、子どもがどこのポイントで遊びに夢中になるのか、その面白がりポイントを親はしっかりと観察し、子どものペースに合わせて、臨機応変に子どもの遊ぶ環境や言葉の掛け方、関わり方を選んでください。お互いの共感体験を大事にしつつ、一緒に楽しんでほしいと思います」
次からは、竹井先生オススメの土遊びを4つ紹介すると共に、実際に遊んだパパ目線の感想などもお伝えしていきます。
ハラハラドキドキ!息をのんで熱中する「棒倒し」
【遊び方】
砂場での遊びとしては定番の「棒倒し」。親子で両手いっぱいの砂をかき集めて山を作り、山の頂上に木の枝を1本だけ刺す。集まったメンバーで順番に砂を取っていき、木の枝が倒れたら負け!
【竹井さんのアドバイス】
棒倒しの一番面白いところといえば、いつ棒が倒れるかといった、ハラハラドキドキ感! 順番に砂や土をすくって、だんだん倒れる危険性が増していくのですが、そのスリリングさを親子で楽しみましょう。このとき注意してほしいのは、大人が一度にたくさん取ってしまわないこと。次に子ども達がちょっと砂を取っただけで倒れてしまうようなことをするのはよくありません(笑)。子ども達と同じく少しずつ取りながら、お互いのコミュニケーションを図りつつ、じっくりと遊んでもらいたいと思います。どれだけ砂を取ると倒れてしまうのかといったバランス感覚が自然と身に付くのもポイント。何回も繰り返し遊ぶ中で、その面白さを一緒に体験してもらいたいと思います。
【パパライターの感想】
近所で一番砂場が大きい公園に娘と行ってみたところ、ちょうど娘がかつて通っていた保育園のお友達を発見。娘と一緒に公園に落ちている枝探しをしようとすると、一緒に枝探しを手伝ってくれました。その後、3人で砂山を作り、見つけた木の枝を刺して棒倒しゲームスタート! 慎重に1人ずつ砂を取りながら、徐々に砂の山が少なくなってくると、ドキドキ感もマックス。そこで「ああ〜っ!」などと大声を出して軽く脅すと、子ども達はキャッキャと大喜びでした(笑)。とてもシンプルな遊びですが、砂場と枝さえあればどこでも可能。親子でコミュニケーションが図れて、とても楽しめます。