メディアで20年のキャリアを積んできたなかのかおりさんは、最近、退職を決断しました。39歳で初めての出産。育休を取って復帰したときに会社から用意されたのは、アウェイの部署での仕事でした。業務に慣れる間もなく次々と襲ってくる子どもの病気、上司や同僚からの理解のない発言や態度。なかのさんは、心身を病みながらも現状を打破しようともがき続けますが、悪循環のスパイラルにはまっていきます。マミートラックにはまってしまった一人のママのストーリーを、4回でお届けします。

第1回 出産したら四面楚歌 私のキャリアどうなっちゃうの?
第2回 子どもの病気がこんなに多いなんて、知らなかった ←今回はココ
第3回 入社15年、がむしゃらに働いてきた。それなのに…
第4回 二度と正社員になれないかも…それでも退職へ

看護休はすぐ無くなるし、有休も使い切り

 子どもの病気が、こんなに多いなんて知りませんでした。保育園で色々な病気をもらい、免疫をつけるためです。初めてママが知らないのと同じで、職場の人も知らないのです。

 娘の発熱や体調不良の多さに、周りの人が「また?」「本当なの」って思っても仕方ないぐらい。1~3歳のときは、月に1回は何かの病気に。何回かあるときもありました。年に5日の看護休暇はすぐ無くなるし、有給休暇も使い切り。有休の残りを数えるのも、初めての体験でした。

 いったん熱が出ると、1日では終わりません。下がったり上がったり、1週間ぐらいかかる。熱があれば、保育園に行けない。うつる病気の場合、登園停止の日数もあります。権利を主張するわけでもなく、親の気分で休ませるわけでもなく、やむを得ないのです。

 育休中、自治体の助成がある病児保育室に行って、登録はしました。そのときは「熱があるのに、わざわざ預けに来るの?」「仕事を休んでも、許してもらえるよね。子どもの病気なんだから」と思っていた無知な私。手続きした看護師さんが「子どもの熱は、3~4日は続く。何日も続けて仕事を休めないから、預けに来る人が多い」と話していましたが、実感が湧きませんでした。

 保育園に入り、慣らし保育の後。初めての生活でストレスがたまるのか、娘は毎晩のようにせきこんで吐いていました。泣く娘をなだめ、布団と服をきれいにして、寝かせて、片付け。授乳もしていたし、ママは寝不足で会社へ。

 夏は夏風邪です。1歳の夏、発熱で1週間ぐらい引き籠もり。どうやっても娘が薬を飲まなくて、初めてママは焦りました。2週間後は、週末に倒れてけいれんを起こし、救急車のお世話に。熱性けいれんでした。手足口病が原因だったみたいです。

 週明け、病児保育室に初めて連れて行きました。定員が少ないのでなかなか予約が取れず、着替えやタオル、ごはん、飲み物、おやつもすべて持参。自宅や会社から微妙な距離にあり、タクシーを使います。保育室に連れていかれ、初めてのシッターさんに抱っこされ、「ママ、どこに行っちゃうの?」と私を見つめる娘の姿。忘れられません。

いったん熱が出ると、1日では終わりません
いったん熱が出ると、1日では終わりません