自分は一体、何歳まで働くのかな…? DUAL世代なら一度や二度は頭に浮かんだことのあるこの疑問。家のローンは残っているし、子どもの教育費もまだまだかかりそう…、年を取っても細々とでいいから何らかの収入源を確保できればひとまず安心。何より、いつまでも自分が好きと思えることに打ち込んだり、仕事にし続けられたりする人生を送りたいと思っている――。そう考える人は少なくないはずです。ましてや、年金制度は先行き不透明、企業は大手ですら早期退職推進やリストラが珍しくない時代。収入が激減しても他でカバーできるように、あるいは退職しても収入がゼロにならないように、今から備えておきたいと考える人は多いことでしょう。
 転職、副業、独立開業、いずれの道を選ぶにしても、武器の一つとなるのが「資格」です。今回の特集では、末永く働くために役立つ資格の選び方、学び方などについてお伝えしていきます。
 第1回のテーマは「これから取っても生かせない可能性がある資格」。昨今の資格事情について、キャリア&マネー協会の代表を務めるキャリアコンサルタント・高村祐規子さんにもお話を伺いながら解説していきます。

【食べていける資格、取っておきたい資格 特集】
第1回 消えゆく資格と生かすワザ 稼げる資格特集 ←今回はココ
第2回 取得者多数の定番資格が「化ける資格」に?
第3回 狙い目の穴場資格、地方移住でも使える資格
第4回 コスパのいい資格、稼げる資格 スクール受講料相場
第5回 資格取得にどのくらい時間かかる?有効期限も要確認

激動の9年を迎える日本。働き方が変化する「移行期」に突入へ

キャリア&マネー協会の代表を務めるキャリアコンサルタント・高村祐規子さん
キャリア&マネー協会の代表を務めるキャリアコンサルタント・高村祐規子さん

 プラスアルファの強みを持っておきたいと考え、「資格」の取得を目指す人は多数。そのとき、「よく耳にする」「評価が高そう」「取りやすそう」などを主な理由に、資格の勉強を始める人もいます。

 しかし、資格と長く付き合っていくなら、本当に興味があるもの、得意なものを選びたいものです。

 何よりも、資格は取った後に「生かせるかどうか」が問題。せっかく勉強の時間とコストをかけても、使えずにムダにしてしまう人は少なくありません。

 キャリア&マネー協会代表の高村祐規子さんは、「日本はこれから9年間、激動の時代を迎えます。効果を発揮する資格を選ぶためには、世の中の動きに敏感になるべきです」と注意を促しています。

特に注目しておきたいのは、次のテーマに関する動向です。

●AI(人工知能)の進化・実用化

 「AIが導入されれば、これまで人が行ってきた業務の多くが不要になります。先日、グーグルが開発した囲碁のAIがプロ棋士に勝利しましたが、これは学者の間では『あと10年先』と予測されていたようです。つまり、予想以上に早く進化しているということ。これから学ぶのであれば、AIに取って代わられることがない領域を選ぶべきでしょう」(高村さん)

●2020年東京オリンピック需要

 2020年の東京オリンピックに向けて、建築関連や訪日外国人向けのサービスを中心に多くの人材ニーズが生まれます。当該分野に興味がある人にとっては、未経験から飛び込んで経験を積みやすい環境といえるでしょう。しかし、オリンピック終了後、どのように先へつなげていくかが課題となります。

●団塊世代の高齢化が進む

 「来年から9年後にかけて、団塊世代の806万人が75歳以上の『後期高齢者』に。2016年の新成人が121万人なので、この数がいかに多いかが分かります。福祉や医療のあり方、お金の流れが根本的なところから大きく変わっていくでしょう」(高村さん)

 こうした潮流をふまえ、今回の特集では、どんな資格を選び、どう生かすかをお伝えしていきます。まずは、今から取得しても生かせない可能性がある資格について見ていきましょう。