今回の留学特集では、タイミングも行先も様々な選択肢があるということを見てきました。しかし、そもそも、留学はわが子の将来にとって必要なのでしょうか。本気で留学をさせようと決めたとき、親はどのようにコミットすればいいのでしょうか。最終的な結論を出すことができない読者も多いかと思います。この根本的な疑問について、人事スペシャリストでありワークライフバランス&ダイバーシティーを推進するコンサルタント、パク・スックチャさんと、グローバルに事業を展開している投資コンサルタント成毛眞さんにお話を伺いました。意見が相反するお二人の留学論。ガチンコでぶつけたら、どうなるのか? 「ぶっちゃけ、留学って要るの? 要らないの?」。ぜひご一読ください。

【今どきの海外留学特集】
第1回 親の時代とは違う! 今どきの留学事情データ解析
第2回 留学種類の徹底比較 気になる治安とコスト
第3回 最も高コスパの留学は「高校&大学で1年ずつ」
第4回 成毛眞 留学なんてはっきり言って時間とお金の無駄 ←今回はココ
第5回 うちの子を留学難民にしないため親が守るべき5カ条

留学で大事なのは本人の意思より親の意向!

ワークライフバランスを推進するコンサルタント、パク・スックチャさん
ワークライフバランスを推進するコンサルタント、パク・スックチャさん

 韓国籍を持ちながら日本で生活し、高校から大学までをアメリカで暮らした経験を持つパク・スックチャさんは、現在ワーク・ライフ&ダイバーシティコンサルタントとして活躍しています。

 現在、大学2年生のお嬢さんと高校3年生の息子さんを持つパクさん。お嬢さんは現在カナダの伝統名門校マギル大学の学部2年生。高校時代はシンガポールのIB(国際バカロレア)を取り入れたインターナショナルスクールで3年間を過ごしました。なぜそのようにグローバル教育を徹底されてきたのでしょうか?

パク・スックチャさん(以下敬称略) まずやはり、私自身が韓国籍で日系二世として育ったというバックグラウンドが影響しています。日本人と同じように育っていても、国籍が違うということは、日本社会で就職するのに大きなハンディになるということを母から常々聞かされてきました。だからこそ世界を見据えた教育が大切だったのです。そのため、私は高校から大学院にかけてアメリカで教育を受けてバイリンガルとして育ち、それをビジネスにも生かしてきました。

 こういった体験から、ぜひ子ども達にもアメリカの一定レベルの大学で、しっかりと論理的に考える教育を受けてほしいと思い、将来はアメリカに留学させようと、子ども達が幼かったころから考えてきたのです。

 しかし、お嬢さんを初めて留学させたのは、アメリカではなくシンガポールでした。

パク  娘は中学卒業までは日本の公立校に通っていたのですが、その後の3年間はシンガポールのインターナショナル高校に通わせました。私が前職でアジアに関わる仕事をしていた際に、アジアの経済成長を目の当たりにし、「これからはアジアの時代だ」と感じたんです。子ども達にはもっとアジアに慣れ親しんで、できれば中国語(北京語)にも精通してほしいと考え、高校で留学させるならアジアだと。結果、教育水準が高く、私の親しい友人もいるシンガポールなら、ある程度安心して娘を一人で留学させられるだろうと思ったんですね。シンガポールのインター高には、ガーディアンプログラムといって、学校が認めるホームステイ先を仲介してくれるシステムがあるのでその点も安心でした。

 パクさんがお嬢さんをシンガポールの高校に入れようと決めたのは、お嬢さんが小学校6年生のとき。お嬢さん自身、元からグローバルへの意識が高かったのでしょうか?

パク  いいえ、全然(笑)。本人は何も考えてなかったと思いますよ。

 高校生までの留学で大事なのは、本人の意思より親の信念にある、とパクさん。どのように成功する留学に導いていったのでしょう。

【参考:日本における国際バカロレア認定校一覧】
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1307999.htm
(パクさんのお嬢さんが入学を希望して合格を果たしたという都立国際高校も入っています)

<次ページからの内容>
・ 留学の成功は、親の手に懸かっている。そのワケは?
・ シンガポールの高校で国際バカロレア教育を受け、娘は……
・ 留学させるくらいなら、●●させてたほうがマシ
・ 人生の“勝ち負け”は30歳で決まる
・ 英語よりも、本当に勉強すべきこととは?