「上級管理職の女性割合が高い組織は、ROEが高い」で紹介した、昨年12月12日(土)に虎ノ門ヒルズ フォーラム(東京都港区)で開催された日経ウーマノミクス・フォーラム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。「女性リーダーの強み」をテーマに、ご応募いただいた日経ウーマノミクス・フォーラム女性会員が充実した時間を過ごしました。

キーノートレクチャーでは、スイスに拠点を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDで「女性向けリーダーシップ・プログラム(Strategies for Leadership)」を主催するギンカ・トーゲル教授が登壇。世界中の女性エグゼクティブを教えてきたトーゲル教授の考えと思いをたっぷりと伺いました。当日の様子を詳しくリポートします。今回は後編です。

女性は無意識に自分のチャンスの道を狭めてしまうことがある

 女性リーダーは、男性的と女性的という2つの要素を満たさなければ「いいリーダー」とは判断してもらえません。私達女性にとってこれはプレッシャーです。ではどうすればそれを成し遂げることができるのでしょうか? その正解は、自信をつけること。自信をつけて障壁を乗り越えることです。

 ここである興味深い調査結果を紹介します。何かの求人に応募しようとするとき、女性の場合は提示されている条件に自分が100%合致しないと応募しません。ところが男性は60%程度合致すれば応募する傾向があります。

 これを裏付ける私の友人のエピソードをご紹介します。彼女の夫はドイツ語が話せないにもかかわらずドイツ語が必須とされる求人に応募したというのです。「他の条件は満たしているからいいだろう」と判断したのだそうです。しかも、結果的には採用されたのです。友人いわく「もし私だったら応募しなかったと思うわ」と。女性は無意識に自分のチャンスの道を狭めてしまうことがあるのです。

 その一方で、素晴らしい調査結果もあります。スライドの上と下をご覧ください。上の5枚は腰に手を当てる、ふんぞり返るなど「権力を示すポーズ」、下の5枚はうなだれる、席に着いて下を向くなど、「自信がないことを示すポーズ」です。こうしたポーズが「ポーズを取っている本人にどんな影響を及ぼすか」がテーマです。

 目的を知らされていない被験者をランダムにグループ分けして、2分間、写真にあるようなポーズを取ってもらいます。その後ホルモンレベルを計測すると、驚くべき結果が出ました。「権力を示すポーズ」を取ったグループはストレスレベルが下がり、「自信がないことを示すポーズ」を取ったグループのストレス値は上がっていたのです。自分の姿勢が相手にどういう印象を与えるか、ということはもちろんですが、自分の姿勢が自分に与える影響もあるのです。それを理解しておくことが大切です。