トヨタ自動車での取り組みを通じて有名になり、今や海外でも通じるようになった言葉に「改善(KAIZEN)」があるのはご存じでしょうか。広く知られるトヨタの生産方式を言い表す「改善」ですが、その基本にあるのは、実は「片づけ」の考え方です。これは生産現場や職場だけでなく、家庭にも取り込み、日々の暮らしで活用することができます。
 20万部超のベストセラー書籍『トヨタの片づけ』を発行したOJTソリューションズで広報を務め、3歳と6歳の2児のママである岡内彩さんが、自身の家庭で実践してきたトヨタ式の応用ノウハウを4回の記事でお伝えしていきます。まず第1回のテーマは、保育園で必要な着替えやタオル、プリント類や子どもの制作物といった「保育園グッズの片づけ」です。

 製造業では5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字のSをとったもの)といわれることが多い「片づけ」。片づけによってムダのない環境を整えれば、スムーズに仕事を進められるだけでなく、乱雑な環境では隠れていた問題が明確になり、さらに「改善」が進むという効果が生まれます。

 今回は5Sの中でも、家庭における片づけに効果的と思われる2つのステップを取り上げ、わが家の実例を交えながら片づけノウハウを紹介したいと思います。

トヨタ式のポイント

整理=捨てる (いる物といらない物を判断し、いらない物を捨てる)
整頓=明示する (必要なときに、必要な物を、必要な量だけ取り出せる状態にする)

 5Sの中でこれら2つを実施するだけでも、片づけは見違えるように進みます。

ルールを明確にし、簡単に変えられる「三種の神器」

 まず、片づけを始める前に、ポストイット・白いビニールテープ・細いマジックを準備してください。いわば、家庭の片づけ三種の神器。片づけのポイントである「ルールの明示」に大活躍します。

 ところで、ルールは一旦決めたら変えるものではない、そう思っていませんか? でも本当にそうでしょうか。

 あるタイミングではベストなルールも、状況が変われば別のルールがより適切になることは多々あります。実際にトヨタの現場でも、ルールの一種ともいえる作業手順は常に見直されています。入れ替わりの多い子ども用品であれば、その傾向はより顕著。一旦決めたルールを守ることと併せて、状況に応じてルール自体を見直すことが必要です。

 もし、おしゃれでかわいい片付け専用のグッズを購入して使っている場合、途中でルールを変えることはグッズをムダにすることにもなり得るので、ついついルールを見直すのが面倒になってしまいがち。それでは片づけ自体がなし崩しになってしまいます。ムリがある片づけは続きません。

 ポストイット・ビニールテープ・マジックであればどこにでも貼れて、簡単にはがせます。ぜひこれら三種の神器を使って、「ルールが明確に分かるようにする」「ルールを簡単に変えられるようにしておく」という状況を作りだしましょう。

 それではいよいよ、お悩み別に具体的な手法をお伝えします。