小学生のおねしょはなぜ起きる?
おねしょとは幼児が睡眠中に排尿してしまうことをいい、5歳未満の子どもによく見られる自然な現象です。ただし、5~6歳を過ぎても週に2~3回くらいのペースでおねしょをする場合は、同じおねしょでも「夜尿症」という病気として捉えられます。
昭和大学藤が丘病院で小児の排尿外来を担当する池田裕一医師によると、科学的に証明される夜尿症の原因は見つかっていませんが、次の2つが原因ではないかと考えられています。
① 膀胱が量をためられない
膀胱は筋肉でできているため、伸び縮みします。睡眠中は副交感神経が優位になって筋肉が弛緩するため、膀胱が昼間の1.5倍も膨らみます。だから、朝まで長時間おしっこがためられるのです。
しかし、膀胱がまったく膨らまなかったり、逆に筋肉がキュッと縮こまって小さくなったりすると、朝まで尿をためることができなくなります。
ちなみに、日中のおもらしに男女差はありませんが、夜のおねしょは2対1で男の子が多いです。それは、骨盤の形の違いで、男児のほうが膀胱が小さいためと考えられます。
② 夜間作られるおしっこの量が多い
睡眠中はおしっこを濃縮させ、おしっこの量を減らすホルモン(抗利尿ホルモン)が分泌されますが、このホルモンの分泌が十分でないために、膀胱の容量以上におしっこが作られてしまいます。この場合、抗利尿ホルモン薬を服用して治療します。
その他の原因: ストレス
①の膀胱が十分に膨らまない理由として考えられるものには、日常生活のストレスもあるといいます。
「寝る前に怒られたり、学校でイヤなことがあったりすると、ストレスが原因で眠りのリズムが崩れてしまい、副交感神経が優位になりません。本来は、ノンレム睡眠とレム睡眠が1.5時間周期でうまく切り替わると、膀胱はうまく膨らむようになっています。また、眠りのリズムが崩れると、眠りが浅くなって尿意を感じるはずの明け方に逆に眠りが深くなってしまい、おねしょをしてしまうこともよくあります」(池田医師)
小学生で治らなければ大人になっても続く
わが子のおねしょで悩んでいると、「大人になっておねしょをしている人はいないから大丈夫」と慰められることがありますが、これは実は間違い。池田医師は、中学生までおねしょをしていると、大人になっても続く割合が高くなると言います。
「200人に1人の割合で、成人になっても夜尿が続くことがあります。特に中学生まで続いた場合、夜尿症治療の基本となる生活改善が難しくなるため、かなりの割合で成人型夜尿症になります」
わが子のおねしょに、何かよい対策はあるのでしょうか? 次ページからはおねしょが与える子どもへの影響や効果的な治療法について見ていきます。