3月12日(土)ロードショーの米ディズニー/ピクサー映画『アーロと少年』。日本語吹替版で、気の弱い恐竜・アーロを演じた石川樹(いしかわ・たつき)くん(12歳)、アーロの帰りを信じて待つ母恐竜役の安田成美さんに、映画のこと、子育てのことを聞きました。

母親として「一緒にいるだけで安心できる存在」でありたい

主人公の恐竜アーロのママ役、安田成美さん
主人公の恐竜アーロのママ役、安田成美さん

―― 安田さんが演じているのは、ご自身と同じ、3人の子どもを持つママの役ですね。

安田成美さん(以下、安田) 映画に登場する恐竜の子ども達はそれぞれキャラクターが違っていて、アーロのパパもママも、それぞれの個性に合わせた接し方をしているんですね。そこがまず、とても素晴らしいなと思いました。まさにそれこそが私自身も親として目指していることで、日々心がけないとけないことだと思っています。

 わが家の子ども達(長男20歳、次男17歳、長女13歳)も、3人とも全然個性が違います。

 例えば、長男はとにかく洋服が好きで「そんなに洋服が好きなら、あるブランドにいたデザイナーさんがどのブランドに異動したかとかを調べてみたら?」と言ったところ、一人で色んなショップを回り、どんどんのめりこんでいっている様子。それが面白いなと思って私も見ているところです。

 次男は絵が大好きです。時々、学校の美術の時間に描いた絵を写メで送ってくれて「どう思う?」って意見を求めてきたりして。「この線、太くしたらどうかな?」って返信すると「OK!」って。こんな感じのコミュニケーションを楽しんでいます。

 娘は最近「ボイストレーニングに通いたい」と言い出しました。何を企んでいるかまだ分からないけれど、静かに見守っています(笑)。

 こんなふうに好きなものも、感じ方も三者三様。そんな個性に合わせた子育てを……と言うのは簡単ですが、なかなか難しいですよね。

―― 映画の中には、恐竜のアーロと少年のスポットが寂しさや不安を抱えるシーンがあります。ママとして、もしご自身のお子さんがそんな目に遭ったら、どうしてあげたいと思いますか?

安田 私は母親として、子どもが一番、安心を感じられる存在でありたいなと思っています。でも母親って、子どもと同じ気持ちになってしまいがち。だから、一緒に不安になったり、悲しくなったりすることもあります。そんなときこそ、頼れたり、安心できる存在にならなといけないと頭では分かっていても、なかなか難しかったんです。長男のときは、もう子どもと一緒になっておろおろしてばかりでした。それが下の子になると、大変なときほど、どんと構えられるようになって。私も母親として少しずつ成長できていたのかもしれません。

―― 樹くんにとっても、お母さんは安心できる存在ですか?

主人公の恐竜アーロ役、石川樹くん
主人公の恐竜アーロ役、石川樹くん

石川樹くん(以下、石川) はい。よかったところは褒めてくれるし、できないところは「こうしたら?」とアドバイスをくれたりします。

 僕はアフレコをあまりやったことがなくて、この映画でも声の大きさはどのくらいとか、気持ちをどうこめたらいいのかよく分からなかったのですが、「今のままだと気持ちが伝わらないから、もうちょっとこうしてみたら」とお母さんに言ってもらえて、安心して取り組むことができました。お母さんがいるから、少しずつできるようになってるのかなって、今回の映画を通して思いました。

安田 いいな。素敵だね。お母さんはそうあってほしいよね。「うるさいなー」って思うことは、言ってほしくないよね(笑)。

石川 はい……そう思うことも、時々ありますけど(笑)。

―― 映画では最初、幼いアーロが家族の力になろうと、お手伝いに果敢に取り組みます。最初は全然うまくできなかったようですが、徐々に成長していきますね。樹くんは、おうちではどんなお手伝いをしていますか?

石川 お風呂掃除をしています。お母さんには「ちゃんと全部きれいに洗ってから出てきてね」って言われます。僕がスポットだったら、アーロに「お風呂はこうしたらきれいになるよ」っていうことを教えてあげられるかもしれません。あとは、お皿洗いも教えてあげられるかな……。

恐竜のアーロは、スポットという少年と出会い、冒険の旅に出発する
恐竜のアーロは、スポットという少年と出会い、冒険の旅に出発する