2012年、東京から沖縄に移住。「人事・組織コンサルタント」「沖縄移住支援」「キャンドル体験ハウス&ショップの経営」と、幅広く活躍している上原順子さん(41歳)。8歳の男の子のママです。
沖縄に移住して半年間は、動いても動いても収入に結びつかず、ビジネスの見通しが立たなかったそうですが、現在は「本当にやりたかったこと、沖縄に来た本来の目的がかなっている」と言います。国内でも特異な風土を持ち、東京とのカルチャーギャップが特に大きい沖縄で、上原さんはどのようにビジネスを切り開いていったのでしょうか?
東京での手法が通用せず、半年間、苦悩が続く
上原さんは長野県生まれ、東京育ち。人事コンサルティング会社勤務を経て、2005年、人事コンサルタントとして独立しました。2008年、長男を出産。そのころ、初めて沖縄を訪れました。
「『私の求めている空気がここにある!』と思いました。それからは年に数回、家族で沖縄を訪れました。『いつか住みたい』という漠然とした思いが『決断』に変わったのは、東日本大震災の後。自分の生き方そのものを考え直し、移住を決意したんです。仕事があるかどうか分からないし、土地になじめるかも分からない。けれど、自分達がどう生きたいかを考えたら、この選択しかありませんでした」
沖縄でのビジネスのビジョンは色々と持っていたものの、まずは人事コンサルタントの経験を生かす方向で仕事探しを始めた上原さん。東京では、経営者が集まるネットワークやセミナーに参加し、人脈を築き、仕事に結びつけてきました。経営者のSNSやブログを通じてコンタクトを取ることもできました。しかし、沖縄に移り住んで1カ月、そのやり方が通用しないことに気づきます。
「経営者が集まる会やネットワークの情報が、どれだけ探しても見当たらない。そうなると、1社1社当たっていくしかありません。まず、東京の友人から『大学時代の友人が沖縄にいる』と聞き付け、紹介してもらいました。その一人から始まり、そこで紹介を受けた会社を訪問する、そこでも紹介を受けて次の会社へ……というように、訪問を繰り返しました。40~50社ほど回りましたが、契約には至りませんでした。お試しに無料の研修サービスを提供しても、その先につながらない。その期間は半年くらいでしたが、1年にも2年にも感じました。とにかく不安でいっぱいでしたね」
チャンスが訪れたのは、移住7カ月目のこと。
上原さんが無料セミナーを提供した1社が、県の事業である組織活性化プロジェクトを受託。これを実行できるコンサルタント人材として適任ではと、上原さんに声が掛かったのです。ここから1年間、県の事業に従事。その結果、実績が認められて多数の企業との契約が成立し、ようやくコンサルティング事業が軌道に乗りました。