今年7月、岩手県に住む中学2年生の男子生徒がいじめを苦に列車に飛び込み亡くなりました。担任教師はいじめを知りながらも事の深刻性に気づかなかったことが大きく報道され、「防ぐことはできたのに…」と心を痛めた人も多かったのではないでしょうか。また、その事件から約5カ月前には、神奈川県で中学1年生の男子生徒が、いじめの果てに殺されるという悲惨な事件も起きています。どちらのケースも、親は執拗に繰り返されるいじめに気づいていなかったといいます。
 親が一番恐れるのは、こうした子どもの命の危険を見逃すことかもしれません。いじめが深刻化する前に親は何をするべきなのか、何ができるのか――。ここに焦点を当てて、「子どものいじめ」特集を4回にわたりお届けしていきます。前半は読者アンケートの回答からいじめの実態や対処法を探り、後半は専門家と共に親ができることについて考えてみます。

【子どものいじめ もしわが子がされたら…親の役割特集】
●読者の体験から見るいじめの実態と対処法
第1回 子どものいじめ 最初に受けた年齢は6歳が最多 ←今回はココ
第2回 いじめ 読者に聞いた「そのとき親はどうしたか」

●専門家に聞いた「親がすべきこと、できること」
第3回 いじめSOS打ち明けられたときの親のダメ対応は?
第4回 いじめから逃げる、学校と連携…親ができる具体策

子どものいじめを不安に思う読者の声

■「いじめにあったとき、もしくはいじめに関わっているときに親が気づけるかどうか。また、そのときにどう対応したらよいのか心配」(35歳女性、医療)

■「どこまで子どもに話を聞いていいのか、学校へはどのように伝えたらいいのか、難しいのではないかと思っている。言葉かけや対応によっては悪い方向に進んでしまう可能性が潜んでいると思う」(38歳女性、教育・教育学習支援関係)

■「いきなり担任に相談といってもその教師が信頼できるかも分からない。もっと第三者的なスクールカウンセラーなどが積極的に動ける体制になったらいいと思う」(32歳女性、建設)

 DUAL編集部で「子どものいじめ」に関する読者アンケートを実施したところ、上記のような声が集まった。実際に子どもがいじめを受けていると分かったとき、親は臨機応変に対応していきたいが、何が正解で何が間違いなのか、それとも正解はないのか……どのようなやり方で何をすればいいのか不安に感じている様子がうかがえる。

 それではまず、読者アンケートで集まった回答からいじめの実態を見ていこう。

子どものいじめを経験した人は約60%

Q. あなたのお子さんはいじめを受けたことはありますか? もしくは今、受けていますか?

 わが子が「過去にいじめを受けた」と回答した人は47.1%、「今、受けている」と回答した人は10.8%で、わが子がいじめを体験した/していると回答した人は全体の約6割に上った。

 「いいえ」(42.2%)と答えた人の中からも、

■「保育園のときと異なり、交友関係を把握しづらくなっているので、子ども達がどのような関係性で付き合っているのか、とても不安に感じます」(36歳女性、金融・証券・保険)

■「親が知らないだけで、実は子どもはいじめを受けているのではないか? 遊び半分での“軽いからかい”が、いついじめになるのか、その境目が分からない」(37歳女性、情報処理・SI・ソフトウエア)

といった不安の声が聞こえてきた。

 それでは、実際に体験した/している子どもが最初にいじめを受けたのは、いったい何歳のときなのだろう。

アンケートは2015年9月9日~23日の間に日経DUALのサイト上で子どものいる読者を対象に実施。102人の回答を得た。回答者の平均年齢は41.5歳。子どもの数は1人が28.4%、2人が54.9%、3人が12.7%、4人以上が3.9%。子どもが複数の場合、いじめを受けた/受けている子どもについて回答。
(記事中の円グラフは少数第一位以下の切り捨てにより合計が100%にならないものもあります)