第1回の記事「思春期の「父の下着と別洗い」が起きない家族の秘訣」では、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員の臼田明子さんの調査で「思春期の子どもたちは、親とのコミュニケーションを求めている」という事実が明らかになった。子ども達が求めているのはどんな言葉や行動なのだろうか?
親から子へのコミュニケーションというと、積極的に話しかけたり、話題を提供したりというイメージを持つ人が多いかもしれない。しかし、臼田さんが調査の過程で子ども達から集めたニーズは、「ただ話を聞いてほしい」というものだったという。
子どもと会話する前に、to doばかり言い続けていませんか
「その日の学校での出来事や、友達とのやりとり、今一緒に見ているテレビの感想など、本当にたわいもないことですが、子ども達は“今日、身の回りで起きた出来事”について親に聞いてほしいと思っています。日常の何でもない話を親はいつでも聞いてくれる。それが『親は自分のことをいつでも受け入れ、理解してくれる存在』という安心感につながるようです」(臼田さん)
逆にやってしまいがちなのが、「宿題を早くしなさい!」「お風呂に入って寝なさい!!」「遊んだら、片づけなさい!!!」と“to do”ばかりを言い続けたり、子どもの意思を聞く前から「あなたは中学校を受験する気がある? だったら、準備をしないと。お友達は塾に行っているの?」と一方的に質問攻めにしたり、というパターン。これでは、子どもが口を挟む隙を見つけられずに、「お母さんとお父さんは、全然話を聞いてくれない…」と心を開かなくなってしまう。
母がやってしまいがちな芋づる方式の叱り方には要注意
特に母親が叱るときには要注意。感情的になると何年も前の記憶を引き出して、「そういえば、あなたは保育園に通っているときもそうだった。4年生になってもできないのはどうして?」と芋づる式に叱り続けてしまうパターンが少なくない。
子どもが何か言おうとすると、「口答えしちゃダメ!」と一喝。子どもが黙ってふてくされようものなら、「言いたいことがあるなら、言いなさいよ!」。子どもの気持ちとしては、「言いたいことは山ほどあるけど、あんたには言いたくない。だって、どうせ聞いてくれないもん」…となってしまい、コミュニケーションがシャットダウンしてしまう。すると、親子間の会話が極端に減っていき、何か問題が起きたときにも一緒に解決するための関係性が不十分になる。
では、どうしたらよいか。