統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。今回は「夫の家事・育児分担率」について取り上げます。
 日本の共働き夫婦の家事・育児分担率は、0歳の子どもがいる家庭でも「夫15%、妻85%」。欧米諸国の夫の分担率が30〜40%なのに比べるとまだまだ低いのが現状です。また地域別に見ると、夫の分担率1位は島根県で、東京・東北・四国の夫の分担率も高いのが特徴。逆に近畿地方では、軒並み低くなっています。

 こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。今年も平穏に過ごせればよいですが、人間誰しも、悩みやトラブルの火種を抱えているもの。共働き夫婦の場合、パートナーとの家事分担に関わるいさかいが多いのではないでしょうか。

 昨年12月に「共働きパパ 本音だらけの覆面座談会」(第1回第2回第3回)という記事が載っていましたが、ある参加者の家事分担率は、「できているときで『夫4:妻6』。ただし、忙しさによって『夫1:妻9』くらいになる」のだそうです。「4:6」とは見上げたものですが、「1:9」となると妻の不満が爆発する可能性が高くなるかもしれません。

 これは一人のパパの告白ですが、統計から分かる標準値はどれほどでしょう。子どもの発達段階や地域による違いは? こんな疑問を解いてみたいと思います。年の始めでもありますし、全国の共働き(デュアル)世帯の平均像をご覧いただき、ご自身の現状を相対視してみてください。

1〜2歳の子どもがいる夫の分担率は、日曜日で26%

 総務省の「社会生活基本調査」という資料に、主な生活行動の平均時間(1日当たり)が掲載されています。私は、共働き夫婦の家事・育児の平均時間を調べました。曜日ならびに末子の年齢別の数値を採取し、それを基に夫の家事・育児分担率を計算してみました。表1は、結果を整理したものです。

 週全体の1日当たりの平均時間は、0歳の乳児がいるデュアル世帯では、夫が92分、妻が527分となっています。よって夫の分担率は、92/(92+527)=14.9%と算出されます。「夫15:妻85」ですか、思ったより低いですね…。

 その後、イヤイヤ期の1〜2歳ではちょっと上がり、その後は子どもが大きくなるにつれ低下していきます。曜日別に見ると、平日よりも土日の分担率が高くなっています。日曜で見ると、1〜2歳の子がいる夫婦では、夫の分担率は26.1%、およそ4分の1です。

 これが全国の平均像ですが、どのような印象を持たれたでしょうか。「全然低いじゃん」と思われたかもしれませんが、夫婦とも正社員の世帯で見たら、値はもっと高くなるでしょう。全国のデュアル世帯の母集団では、夫が正規雇用、妻が非正規雇用(パート等)の世帯が多いことに留意してください。