「機械的な扱い」を覚悟で選んだ3院目。麻酔なしの採卵は拷問のような激痛
久美子さん(以下、敬称略) 2つの病院を経て、次に通院する3つ目のクリニックを探すとなっても、よりどころとなる正確な情報はあまりありませんでした。インターネットや雑誌を見ながら、夫婦で「どこに行けばいいのだろう?」と途方に暮れました。2院目もネットなどでは「かなりいい」と評判だったところでしたので……。
そして選んだのは、大規模院で世間からの評価が大きく分かれるクリニックでした。医師からの詳しい説明は一切ない、あえて治療をシステマチックにして数多くの患者を受け入れ、費用を低く抑える。「それでもいい」と、ある程度機械的な扱いを受けることは覚悟して通い始めました。
DUAL編集部 2院目のクリニックと比べて、まず何が同じで何が違いましたか?
久美子 診察する医師が毎回違うことや、治療内容もマニュアル化されていて「この数値が出たら、こんな治療を」と機械的に進められていることなどは、前のクリニックと同じでした。しかし、採卵時に一切鎮痛薬を使わないという方針が違いました。
―― 採卵は、卵巣に針を刺して行うのですよね?
久美子 はい、卵巣の様子を超音波でモニターしながら針を刺し、卵子を採るという作業が採卵です。前のクリニックでは飲み薬を飲んだり麻酔の注射をされたりと、かなりぼーっとした状態で行われていましたので、採卵時の恐怖感は軽減されていました。
無麻酔採卵の理論としては、採卵は短時間の処置であるため、薬が効くか効かないかの時間内で終わってしまう。針を刺すという意味では、麻酔の注射も同じである。麻酔しなければ、午前中に採卵しても午後は仕事に戻れるため、働く女性にはより好都合であるという説明でした。
―― 実際、いかがでしたか?
久美子 採卵の作業に時間がかかる場合もありますし、採卵時の恐怖感や出血、痛みに関しては個人差があるのかもしれませんが、私にとっては拷問に近い痛みでトラウマになってしまいました。
噂には聞いていましたが、実際に経験してみると、その痛さに驚きました。これほどまでに人間扱いされず「それでも妊娠したいから来ているんでしょう?」と上から物を言われている感じが常にして。その1回の採卵で、体も心も「こんなにひどい目にはもう遭いたくない」と。