日経DUALで行った「習い事調査2017」からは、多くの読者の方々が子どもに習い事をさせた経験があることが分かりました。

 特に未就学時代の習い事は、小学校に入ってからの生活を見据えたものが多く、すでにお子さんが小学校、中学校に進学している方からは「やっていてよかった」「やらせておけばよかった」という習い事に関する「成功体験」「失敗・後悔」の声が数多く寄せられています。

 今回は「グローバル化」を視野に入れた習い事について、米国を拠点に20年以上教育に携わり、4000人超のグローバル人材を輩出してきた船津徹さんにお話を伺いました。

 今の子どもたちが社会に出るころには、確実に日本にも海外からの労働力が入ってきていると言われています。習い事で、子どもたちの将来に役立つ何かを得ることはできるのでしょうか。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 習い事調査2017 何をどこまで習ってる?
(2) 子どもの習い事で失敗、後悔! やらせたかったのは
(3) 最新習い事情報 サイエンス・キャリアが躍進
(4) 読み書き計算の先取りは「自信」を育てるために必要
 ←今回はココ!
(5) “世界標準の子育て”に必要な習い事は英語じゃない

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

日本を含むアジアの習い事の状況は世界的に見たら特殊

 「世界標準の子育て」をブログや著書を通じて発信している船津徹さんは、「世界標準の子育て」の根幹となる3つの条件に「自信」「考える力」「コミュニケーション力」を挙げています。そして習い事は子どもが自分の努力によって獲得していく「根拠のある自信」を受け取るために重要だといいます。

 ただし、日本やアジア圏で現在、就学前から“勉強系”の習い事に力を入れる家庭が多いのは、グローバルで見ると特殊な状況だと指摘しています。

 「習い事は勉強系、スポーツ系、それからパフォーミングアーツ系の3つに大別できるでしょう。日本をはじめとするアジアには勉強系の習い事といえる、幼児の知育教室がたくさんあり、全般的に“勉強系の先取り”を好む傾向が強いといえます。これは特殊な状況で、もちろん欧米でも同じような面はあるものの、そもそも欧米諸国の場合、例えばモンテッソーリにしてもシュタイナーにしても、知育は学校のプログラムに組み込まれているものですから」

 いわゆる算数や国語などの勉強系を先取りする場合、アジア圏なら学習塾や幼児教室に通わせるところを、欧米では家庭の中で親が教えたり、外国語を教えたり算数を教えるために、家庭教師を呼んだりするのが一般的だそうです。

 「そもそも西洋的な考えでは、勉強を小学校に上がる前に教え込むということは一般的にしないんです」と船津さん。

 とはいえ勘違いしてはいけないのは、算数や国語などの勉強系が無駄だということではないということ。算数や国語の基礎となる「読み書き、計算」の先取りは、子どもの「自信」を育てるために、小学校に入る前にしておくべきだというのです。

 なぜでしょうか。

<次のページからの内容>
・ 勉強のできる子は先取りしている子
・ “自分はできる子なんだ”という認識ができると頑張る子になる
・ 習い事は何を見極めて選ぶ?
・ 良かれと思って始めさせた習い事、なぜすぐにやめてしまう?