セックスレス、という言葉がすっかり定着し、その状態にある夫婦は珍しくなくなりました。それどころか、下手をするとセックスレスの夫婦のほうが多い、といった傾向も出てきています。

 一方、セックスレスでも仲良しという夫婦や、セックスはしないけれどもスキンシップはよくするという人もいます。共働き家庭が増え、夫婦の役割やその在り方も多様化が進み、「かくあるべき」という伝統的な夫婦像が崩れつつあるようです。

 夫婦にとってセックスとは、どうしても必要なものなのでしょうか? 今回日経DUALでは、夫婦のセックスレスとスキンシップの在り方について徹底的に取材しました。第6回は、ゲイのマキさんとレズビアンのジョンさんという、男女逆転夫婦のインタビューです。前編の今回は、お二人の出会いから結婚に至るまでの経緯、セックスと夫婦関係などについて伺いました。

【“仲良しセックスレス”はアリ? 夫婦のスキンシップ特集】

第1回 “夜の営み”アンケート「セックスは好きですか?」
第2回 男女の性欲は加齢により変化 妻の本音と女性の体
第3回 妻としたい気持ちと折れる心 夫の自尊心と男の本能
第4回 閲覧注意! セックスの悩みに答える「直球Q&A」
第5回 マンネリ夫婦の関係改善 スキンシップ&歩み寄り術
第6回 ゲイとレズビアンの逆転夫婦「ノンセックスでも絆」 ←今回はココ!
第7回 「でも、子どもは欲しかった」結婚23年目の初告白

時代を先取りした先進的な同性愛夫婦

 “ジョン&マキ”という夫婦をご存じだろうか?

 ジョンさんは女性として生まれた男装のレズビアン、マキさんは男性として生まれた「ニューハーフ」(マキさんの自称による)。

 この二人の結婚は、自分に正直に生きるゲイとレズビアンの逆転夫婦の先駆けとしてメディアで注目を集め、フジテレビの名物ドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」でもその特異な関係性を追って何度も放送された。現在でも人気を博すシリーズとなっている。

 二人へのインタビューを通して、夫婦の在り方の多様性、そしてセックスを含むコミュニケーションが夫婦の関係性にどのように影響を与えるのか、考えてみたい。

マキさん(左)とジョンさん(右)
マキさん(左)とジョンさん(右)

≪次ページからの内容≫
・人として引かれ合ったマキとジョン
・初めてマキさんに会ったときのカルチャーショック
・「肉体関係はなし」「同性の恋人は認める」という誓い
・「家族が欲しかった」「異性愛とは違う寂しさ」
・友人よりも肉親よりも深い二人の絆
・お互い異性とセックスすることはタブー