妊娠が分かると、新しい命の誕生がうれしい反面、気がかりなのは職場の反応。特に、職場の上司への相談は産前・産後の働き方を巡り、信頼関係を問われたり、時に交渉の第一歩ともなったりする“勝負”の場ともいえます。「妊娠しました、どうしましょう?」ではなく、しっかり事前に準備をしてから臨むことで今後の働きやすさにもつながります。思わぬトラブルも発生しがちな妊娠生活において、あらかじめ知っておきたい知識やリスク管理術を、人材育成コンサルタントでキャリアン代表の河野真理子さんに教えてもらいました。

【年齢別特集 妊娠~職場復帰ママ・パパ】
(1)つわり、残業、立ち仕事…働く妊婦のトラブル回避術 ←今回はココ!
(2)妊娠・出産で働き方を見直す 直属上司との賢い交渉法
(3)ブラックとの境界線 知っておきたい最新マタハラ
(4)泣き寝入りしない! マタハラから身を守る方法

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

あなたの妊娠が働き方改革のきっかけに!

 忙しい中でも、仕事も家族との時間もバランスよく楽しんでいるDUAL読者。しかしいざ妊娠! となると、新しい家族を迎えるうれしい気持ちとともに、仕事や生活などこれからの変化に不安になる人も多いかもしれません。特に、仕事を続けていきたいと思う女性たちこそ、これまでのように時間や体調など、自分が思うようにはいかないことへの不安も大きいはず。しかし、しっかり準備と対策をすることで、働き続けやすい環境は作っていくことができます。そのために働きながらの妊娠期を乗り切る方法を一緒に考えていきましょう。

 働く女性の妊娠や産休・育休にまつわる労働環境や風潮は、ここ1、2年で大きく変わりました。働き方改革が進む中で、女性だけでなく老若男女が働きやすいように変えていこうという風潮が、とても強くなったおかげで、妊娠中の仕事のしづらさも働きやすく変えるための機会となり得るのです。「自分だけ我慢すれば」とか、「自分だけでどうにかしよう」という時代は終わりました。企業も24時間働ける人を求めてはいられません。

 だからこそ、女性も妊娠をきっかけにした働き方の効率化や見直しを、“組織のために”提案する気持ちで動いてみましょう。少し前まで、妊婦さんは組織にとってイレギュラーな存在でしたが、今では職場に存在するのは当たり前の時代です。また、育児休業(男性も含む)のみでなく、病気や介護で今まで通りに働くことが困難になる、つまりイレギュラーな存在になることは、性別や年齢に関係なく、誰にでもあり得ることなのです。そうした様々な事情を抱えた人が、または抱えていなくとも、誰もがその時々に働きやすく、能力を最大限に発揮できるような環境をつくるのが働き方改革なのです。

 そのときに重要なのは、企業側や管理職側のマネジメントの視点も持つことです。妊娠中は体調不良や様々な不安から、ついできないことや自分に必要となる環境整備への理解を優先的に求めてしまいがち。しかし、妊娠・出産という新たなステージを求める部下を応援したい気持ちはもちろん大きい中で、企業や上司の一番の心配事は“突然の事態で仕事に穴を開けること”です。その事実はしっかりと受け止めたうえで、これまで通りの仕事ができなくなったときに、将来後に続くであろう職場の同僚や後輩たちも活用できるような現実的な方法を併せて提案していけると、あなたの妊娠は会社にとってもプラスになっていくことでしょう。

<次ページからの内容>
・ つわり、残業、立ち仕事……妊婦を守る法律は?
・ “時間”と“お金”、妊婦に必要な2つの投資
・ 妊娠中に引き受ける仕事は、リスク管理が大事
・ 押さえておきたい 様々なつわり対策