前回記事では、長時間のデジタル機器の利用は「子どもが脳を成長させる様々な経験をする機会を喪失してしまう」ことをお伝えしました。今回は、瀧先生が指摘するもう一つのデジタル機器の弊害、「コミュニケーション能力の低下」について解説します。
脳の発達は「後ろから前へ」。前頭葉は小学校高学年〜思春期に発達
脳は領域によって、それぞれ担う役割が異なり、発達するピーク時期も異なるそうです。子どもの脳は、脳の後ろから前に向かって発達していくことが、研究によって分かっています。
■生後〜
後頭葉(視覚を司る部分)
側頭葉(聴覚を司る部分)
↓
■3歳〜
頭頂葉(感覚野は触感、運動野は体の動きを司る部分)
↓
■小学校高学年から思春期
前頭葉(思考力・判断力・コミュニケーションを司る部分)
脳で最後に発達するのが前頭葉です。中でも「前頭前野(ぜんとうぜんや)」と呼ばれる部分は、考えたり、判断したり、計画したり、決定したり、洞察したり、コミュニケーションを取ったりといった人間らしい機能を担う部分。前頭前野は小学校高学年から思春期にかけて発達します。
「前頭前野が発達すると、思いやり、気遣いを介した、より高度な人間関係が築けるようになり、人の気持ちに共感したり、物事を判断したり、自己をコントロールしたりするといった能力が高まります。前頭前野は思春期にかけても発達が続くので、小学校高学年の段階では、まだ十分に育っていないのです」(瀧先生)
小学校高学年から思春期は、前頭前野の発達に特に重要な時期。最も人間らしい脳の領域に関わるこの時期に、デジタル機器がどんな影響を与えるのでしょうか。また脳を成長させる年齢別おすすめの習い事について、次ページ以降でお伝えします。